印刷技術 水無しオフセット | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

先日、私が尊敬するほどの印刷知識を持った方から、問い合わせを

頂きました。・・・それがね、「水無しオフセット」に関してだったのですよ。

私しゃ~ねぇ、湿し水の専門家!って言う看板を上げた事は有りますが、

あくまでも、湿し水関連での話であって、「水無し」は、知らんぞぉ~。

 

とは言え、普段から、イッパイ知識を拝借して助けて頂いてる方なので、

「チョッと待ってて~。オレには分からんけど、水無し印刷の専門家を

 知ってるからさぁ、その人に問い合わせてみますわ~」

 

問題はね、水無しオフセットでの、ゴーストの話だったんですよ。それで、

京都でも、水無し印刷の第一人者だったような方に、問合せてみたワケです。

「ナニ?水無しでゴースト。そんなもん、出るのが当り前やんか~。水無しを

選択したちゅう事は、ゴーストは出るもんと、諦めんと、話しに成らんでぇ~」

 

いや、何か対策は無いんですか?ゴースト防止の横振りローラーを使うとか。

「アカン、アカン!ナニゆ~てんねん。水無しで版着けローラーを横振りなんぞ

しはったら、地汚れが出ても~て、何とも成らんように成ってしまうでぇ~。

まぁ、ゴースト消し用の、捨てベタ付けるしか、手ェ~が、無いでしょう~。」

 

「皆んなな、水無しにしたら、水の管理が、のう成って(無く成って)楽に成る

思ってはるかも知らへんけど、そりゃ大きな間違いやわ。水無しには水無しの

難しさちゅうもんが有るねんよ。水無し、ナメたら、ヒドイ目に合うよ~!」

 

との事でした。最近よく「水無しのテストをしてみました」って言う話を聞きます。

バタフライマークを付けたいからとか、いろんな事情が有るかも知れませんが、

「湿し水が無い分、湿し水を扱う技術が不要に成るから」などと言う、不届きな

理由で手を出すモノでは無いと考えています。

 

水無しには、水無しの難しさが有ります。湿し水を使う技術から逃げ出すような、

そんな怠け者な人が、安易に扱えるような、簡単な技術ではないんですよ。

水有りでも、高品質な印刷物を安定生産する事が難しいのと同様に、水無しで、

高品質な印刷物を仕上げようとしたら、やはり同様に、苦労をするのです。

 

ただね、紙に印刷をする場合、湿し水を使わないって事のメリットはケッコウな

ものが有ります。紙は湿気で伸縮してしまいますから、湿し水によって紙が伸び、

ファンナウトが発生してしまいます。その点、水無しは、楽に成るでしょう。

 

「成田はん。まだまだ甘いなぁ~。水無しだって、ファンナウトは起きまっせ~。

水無しのインキはタックが高いさかい、インキで紙が引っ張られてしまうんです。

まぁ、水有りよりマシかも知れへんけど、ファンナウトは普通に起こりますよ~」

 

んじゃ、水無しの良い所が無いじゃないですか。「ナニ、ゆ~てはるんですか~、

『環境に優しい』『環境を壊さない』『環境を守る』 ほら3つも、エエとこが有るや

おまへんか~(笑)」

 

「水と油の反発を利用して、インキの付く所と、付かない所を仕分けする」

私にとっては、それがオフセット印刷の基本であり、ここから逸脱した水無し

と言う分野に関して、私は、理解不能ですし、無知です。

 

もし、皆さんの会社でも、水無しのテストをすると言う話に成った時には、

「湿し水を使わない分、楽だ」などと、安易に考えるのではなく、シッカリと

そのメリット、デメリットを検証してみて下さい。