印刷技術 オフセットを制するもの | 1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

私のセミナーで、よく紹介させて頂いてる話ですが・・・。

 

「湿し水を制する者は、オフセット印刷を制する!」 ←これは、ウソですッ!

なんつって、話してますよね。どんなに湿し水をウマく使う技術が有ろうとも、

どれほど優れた色出しの技術を持っていようとも、紙を安定して出す事が

出来なかったら、そんな技術は宝の持ち腐れ、全く役に立ちませんわね。

 

オフセット印刷を制するのは「給紙・排紙」の、紙を制御する技術である!

ってのが、私の考え方なんですよ。枚葉機だけでなく、輪転機でも同じです。

頻繁に紙切れが起きるとか、スタバンでトラブってばかりとか、そんな状態で

安定した印刷や、安定した生産が出来ようはずがないですわね。

 

オフセット印刷を制しているのが、紙を制御する技術であるならば、湿し水が

制しているのは何か? 湿し水が制しているのは「印刷品質」です。湿し水の

使い方一つで、印刷品質は大きく変わってしまいますし、乾燥不良だとか、

汚れ、色調不良、異常なドットゲイン、網点不良など、オフセット印刷に於ける

多くのトラブルが、湿し水の使い方と、密接に関係していますよね。

 

話を戻して、給紙・排紙についてですが・・・。 例えばですよ、朝から晩まで、

毎日、同じ紙しか刷らないとしたら、こりゃ楽ですよね。オレの印刷機では、

4/6半切、コート紙の90kg だけしか刷らない。って成れば、給紙や排紙の

調整なんて不要です。・・・ん?表面刷って、裏面を刷ろうとしたら、紙クセが

変わるから、調整が必要だろう!って? いや、両面機で刷ればイイんです。

 

「ウチは田舎だから、何でもやらんと、仕事が無いからなぁ」とか言う声を、

よく聞きます。帳票類の、メッチャ薄い紙から、超厚のボール紙までやって

しまうって具合ですよね。・・・私自身も、小さな印刷屋さんばかりで働いて

来ましたから、全く、その通りで、何でもかんでもやってました。

 

「印刷屋は、何でもやろうとするから儲からないんだ!」と言う、セミナーを

私が40歳代の時に聞きました。 何でもやろうとするから、その調整替え

だとか、調子が出るまでのロスタイムだとか、無駄に費やす時間が多く成り、

生産が極度に落ちて儲からなく成る! ・・・確かに、その通りですわ。

 

んでもね、一人の技術者としては、チョッと不満でした。

自分の印刷機は、0.04mm ~0.30mm までの紙を刷る事が出来る物で、

そんなポテンシャルを持った印刷機なのに、1種類の紙しか刷らないと

したら、そりゃ、印刷機の能力を使い切っていないって事なんじゃないのか。

 

田舎だから、何でもやらにゃアカン。と言う前に、何でもやれるようでなきゃ、

印刷技術者!と胸を張る事が出来ないのではないか!・・・なんつってね。

要するに、調整替えだとか、調子出しのロスタイムを極限まで無くして行け

ばイイだけの話じゃん。それこそが、フィーダー技術の神髄だろッ!(笑)

 

まぁしかし、これからの時代、オフセット印刷にとって、最も重要なのは、

間違いなく「品質」なのだと思います。高品質こそが、オフセット印刷の命

なのですわ。と成れば、「湿し水を制する者はオフセット印刷を制する」っ

てのも、充分にアリな話か。などとも考える、今日この頃なのであります。