印刷技術 緊急出動 汚れ | 1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

ウチ(コスモテック)は、TOP-ONE をはじめ、印刷機の周辺機器を

提供させて頂いている会社です。・・・この、湿し水循環装置を扱ってると、

「印刷物に汚れが出て止まらんのやけど、おまえんとこの装置が壊れて、

エッチ液が入っとらんのとちゃうか!」と言う、問合せが入る事が有ります。

 

今回も、そんなお問合せを頂き、ウチのサービスが行って、機器の状態を

確認させて頂いたのですが、問題が有りませんでした。「んじゃ、なんで

汚れが止まらんのだ!」・・・と言われても、ウチのサービスに印刷技術が

判るわけもなく。 そんな場合は、私の出番に成るわけです。

 

症状を見てみると、4色目(黄)の操作側、咬部分の汚れが、頑固に出て

いました。こんな時、最初に確認するのが、調量ローラーの調整具合です。

次に、ローラーニップと確認場所が続くわけですが、今回の場合、それらは

全て良好な状態でした。

 

チョッと不思議だったのが、4色目のローラーが一番新しいのに、なぜだか、

4色目の水目盛りだけが、メチャ上がっていたんです。その点を機長さんに

聞いてみると、「端っこの汚れが止まらんから、水目盛りを上げた」とのこと。

 

そっか~、ローラーが新品でも、「汚れが出た=水を上げる」って言う対応しか

出来てないって事なんやねぇ~。そんな対応なら、素人でも出来るわなぁ~。

プロなんだからさぁ、技術を売って、お金をもらってるんだからさぁ、きちんと、

本当の原因をつかもうよ~。(と、心の中で、ささやき・・・)

 

てなワケで、ローラー上のインキを見てみると、明らかに、汚れが出てる側の、

インキの量が多いんですわ。・・・ありゃりゃ、何でこんなにインキの量が多いの

かな?こんなに多けりゃ、そりゃ、こっち側の端っこだけ汚れが止まらんわなぁ。

 

こうした場合に見るのは、インキ壺の「ゼロセット」です。印刷中の状態で確認

したら、この端っこ2つの、壺キーの開度は、「0 」だったんですが、ぜんぜん、

ゼロに成ってなくて、絵柄が無い部分なのに、インキが、どんどん出てってる

状態でした。・・・こりゃね、多過ぎるインキで汚れが止まらんのも当然やわ~。

 

「インキ壺のゼロセットがダメで、端っこのインキが出過ぎてるから、これでは、

汚れますよ。ゼロセットを、キレイに出してやれば、簡単に直りますわ。」と言うと、

「ああ、そう言う事か、んじゃ、印刷機メーカーに言って、直してもらうわ。」

 

・・・今回はコスモテックの社員として、アドバイスに行ってるワケですから、ここで

「ああそうですか、じゃそうしてもらって下さい」 と言って帰って来ましたが、これが

もし、成田先生として、個人的に行っていたら、これじゃ済まんですわねぇ。

 

こらッ!印刷機をナメてんじゃねぇ~ぞッ!ゼロセットも自分で出来んのかッ!

そんなヤツが、印刷オペレータとして給料もらってんじゃねぇッ!プロだろうがッ!

何でもかんでも、メーカー任せにして、それでオペレータ なんて言ってんなよッ!

・・・くらいの事は、言ってたでしょうね。

 

多くのオペレータ さんは、分かっていると思いますが、「ただ、刷るだけ」なんてのは

アルバイトの兄ちゃんでも、出来るかも知れんのです。自分の印刷機を良い状態に

して行く。良い状態を長くキープして行く。それが、プロのオペレータ の仕事です。

インキ壺のゼロセットなんてね、基本中の基本ですわね。