毎日毎日、印刷をしていると、必ず、「不調」ってヤツが、やって来ます。
「昨日まで調子良かったのになぁ~」 「さっきまで調子良かったのに~」
なんてヤツです。きっと皆さんも、少なからず、経験が、お有りの事かと。
この時に、いち早く、その不調の原因を突き止め、的確な対応が出来れば、
何の問題も無く再開する事が出来るのですが、なかなか、そうは行きません。
例えば、印刷した紙に、シワが入って、出て来てしまう、なんてヤツ。
急にシワが入って、まず最初に疑うのはフィーダーボード上のコロですかねぇ。
ハケコロが強く成ってしまっていないか?ゴムのコロがズレて、紙の上に掛って
しまってはいないか? そして次は、紙押さえのベロですかね。強く押さえ過ぎて
しまっていないか?その逆に浮いてしまってはいないか?
それらが良好だと成ると、次は針、前アテ周辺。強く引き過ぎていないか?
強く当たり過ぎてはいないか?・・・これもヨシと成れば、次は爪ですよね。
スイングの爪、第一中間胴の爪、こいつらの動きがシブく成って、開きが
悪く成ると、紙の受け渡しが不良に成り、シワが出る事が有りますよね。
これも良好だと成ると、いよいよ次は、紙、そのものです。ロットが変わって、
急に波打ちが発生してしまってはいないか?こりゃ紙の側面から見てやれば、
波打ちの状態が分かりますよね。一度、発生してしまった波打ちを解消する
事は、こりゃ、なかなか困難ですわねぇ。
波打ちもナシだとしても、もう一つ、紙に関しては確認して欲しい事が有るん
ですよ。積み上げられた紙を、パイル台ごと降ろして、紙の一番上を、手で
全体的に、なでてみて下さい。この時、紙に変なウネリが有る場合が有ります。
大きくゆるく、膨らんだり、へこんでたり。こうした紙癖もシワの原因に成ります。
これが疑わしい場合は、まず、紙をひっくり返して刷ってみる。それでシワが
解消されればOKですが、それでもシワが出るようなら、同じ紙質で同じ厚みの
紙を探して、それを刷ってみる。今、シワが出てるのと、同じロット番号のでは、
ダメですよ。出来るだけ古い在庫紙とかが有ったら最高ですわね。
その古い紙で、シワが出ないようなら、紙屋さんと相談する価値が有ります。
「シワが出て困ってるんだけど、違うロットの紙と替えてもらえませんか?」ってね。
もしも、古い紙でもシワが出るようなら、これはアカンです。印刷機の方に何かの
不具合が有る可能性が高いですもんね。まず、そっちを解消する事が先決です。
いつも言うように、「紙・インキ・水」ってのが、オフセット印刷の三大不安定要因って
ヤツです。工場内の湿度や温度を一生懸命に管理してても、寒風吹きすさぶ室外
から入って来た直後の紙ってヤツは、こりゃやっぱり非常に不安定な状態です。
これも、いつも言ってる事ですが、紙を工場内の環境に慣らして良好な状態にする
ためには、必ず、印刷する前日には紙を入荷して、工場内で保管したいですね。
「紙・インキ・水」・・・最近は、これに、もう一つ、「ゴム」ってのを加えて、四大不安定
要因ってしたいなぁ~。なんて考えています。ゴムローラー(UVの場合なら樹脂)と
ブランケット。こいつらも、変動要素が、とても多いですから、充分な不安定要因だと
言えるんじゃないかと思いますわ。
いつも調子が良いのに、突然、不調に成ってしまう。4つもの不安定要因を制御して
行くオフセット印刷では、こりゃ、有って当然だと言う気構えが必要なのだと思います。
その不調を迅速に乗り切るためには、やはり、経験がモノを言います。何度も何度も
そうした不調を経験し、苦しみもがいて解消して行った経験が、技術屋の財産です。
たくさんの財産を築いて行くとね、「不調の匂い」 が分かるように成るんですよ。
「あ、チョッとヤバいかも」って言う、匂いに気付く事が出来るように成れば、本当の
不調に陥る前に、事前に対処する事が出来るように成るんですわ。こうした事が、
出来るように成った人を、「ベテラン」って呼ぶんですね。
「ベテラン」は一日にして成らず。 苦労と失敗を何度も何度も積み重ねて、ようやく
たどり着く事が出来るモノなのです。あッ、「ベテラン」=「経験年数」では無いですよ。
「ベテラン」=「苦労と失敗の数」+「それを正しく解消した数」だと思って下さいな。