印刷Q&A エッチ液の選択基準 | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

●質問

 

エッチ液を替える事によって、刷るフィーリングや印刷結果がなんとなく変わるんだな、

とはわかるのですが、実際、評価するポイントが今一つ分かりません....。
価格と希釈量(消費量)などを加味し、問題が起こりにくくなり、印刷して汚れにくくて、

刷りやすいなぁ、良いなぁってくらいで良いんですかね? 
成田さんはエッチ液の開発もしていたと聞いたことがありますが、どういう指標で評価を

していたのですか?何か通常のカラー印刷中に注意して観察する部分はありますか?

網点の形状などの質ですか?やっぱり、汚れやすい、感じやすいインキで評価しないと

正確な追い込んだ評価はできないのですか?
 

●回答

 

開発中の評価は、スゴかったですよ。科学者が理論的に作った物を、私が実機で、

実際の仕事をしながら評価して行くって方法だったんですが、汚れが取れなくて、

全く刷れない試作品も有りましたし、イイんだけど、メチャ調量が絡むってのも

有りましたしね。

 

評価採点は「①アホ、②カス、③まぁまぁ、④良い、⑤メッチャ良い」の5段階でした。

難しい事は何も考えていません。刷りやすいとか、楽に刷れる。なんてのを評価して

いるだけの事なんですが、自分の印刷機のメンテ状態には自信が有りましたので、

私がテスターとして選ばれたのだと思います。

 

その後、様々な資材のテストを依頼されるように成って来てしまったので、何か基準を

作らなきゃ成らないと感じ、テストチャートを使ってみましが、チャートって、目視だけ

では、良否の判別がケッコウ難しいんですよね。

 

そこで、私、オリジナルのチャートを作りました。なんのことは無い、ただの総平網です(笑)。

80%の全面総平網の版を作って、濃度を計れるパッチを付けます。これを紅で刷るの

ですが、通常濃度の1.45 とかでは、よほどの事が無い限り、普通に刷れてしまうんですよ。

 

そこで、あえてトラブルを出すような気持で、1.70 と言う、高濃度で刷るんですわ。

ここまでインキを盛ると、簡単に、いろんなトラブルが出て来ます。メンテが悪ければ、

ローラー目とか、イッパイ出ちゃいます。

 

この高濃度で刷っても、耐えられるような物を、ヨシとして、資材選びをしていました。

ブランケットなんか、顕著に違いが現れて、おもしろいですよ。エッチ液も、このテストで

刷りやすいか、刷り難いかがケッコウ現れます。

 

80%の平網って、ルーペや計測器等を、使わなくても、目視だけで、かなりの差を

見極める事が可能なんですわ。昔、名古屋の勉強会で、印刷コンテストをやった事が

有るんですが、その時の課題が、この、M平網80% 濃度1.70を、コート紙で刷る。

ってヤツでした。

 

いざやってみると、なかなかウマく刷れないので、皆んな四苦八苦して作品造りを

したようです。それを全て壁に貼り出して、皆んなで評価して順位を決めたんですが、

その時に優勝したのは、リョービの菊四・4色機でした。メチャ綺麗な平網でした。

(私は代表審査員なので、作品は作っていません。作ってたら絶対、優勝します(笑))

 

これをやれとは、言いませんが、一つの指標としては有効だと考えています。

とにかく、「楽に良い物が刷れる」ってのを一番に考えれば良いと思うのですが、

刷り物や紙が違ってしまうと、正しい評価が難しく成りますよね。

 

この、80%高濃度総平網テストは、1版で済みますし、非常に判りやすいテスト

ですので、ヒマな時にでも、是非1度は、挑戦してみて下さいな。

あッ、ちなみに、藍が一番刷りやすいです。その次に紅が難しくて、一番難しいのは、

なんとッ、墨なんですよ。墨の80%総平網って、本当に難しいですから、メチャ暇な

時にしか、やっちゃアカンですよ(笑)。