印刷Q&A ユポタックの反り | 1級技能士・成田の印刷技術

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●質問

 

あまりやらない仕事なのですが、先日、ユポタックの仕事が入りました。

段ボールの箱に入っていて、それを開封してみたら、ユポタック紙が、

大きく反り返ってしまっていて、とても給紙が出来るような状態では

ありませんでした。なぜ、このような事が起きるのでしょうか。また、

この場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。

 

●回答

 

ユポタックってのは、アレですよね、ユポの裏面に接着剤が付いていて、それを

カバーするように、茶色みたいな剥離紙が付いてて、印刷後に使う時には、その

剥離紙を取って、シールみたいに貼るってヤツですよね。

 

ユポタックに限らず、2種類の違う物が貼り付けられた紙ってのは、反りとかが

出易いですよね。表に貼ってある A 紙と、裏に貼ってある B 紙の伸縮率、つまり

伸び方が違うと、それが「反り」に成って現れます。

 

例えば、A 紙は、あまり伸びない紙で、B 紙の方は伸び易い紙だとすると、B 紙が

伸びる事によって、B 側が山に成ったように変形してしまいます。B 側が裏面だと

すれば、表側の A 面から見た場合、逆反り(オチョコ型)に成ってしまいます。

 

普通の紙は、湿気によって伸び縮みしますよね。これに対して、ユポタックの場合は、

裏面の剥離紙は、湿気で伸び縮みしますが、ユポ側の方は、湿気とは無関係で、

温度差によって、伸び縮みが発生すると言う、チョッと特殊な構造を持っています。

 

私が経験したのは、とても寒い冬の日で、寒い中をトラックで搬送されて来たユポタック

の段ボールを開封してみたら、ユポが縮んで、ユポ側に向かって、オチョコ型に、かなり

ヒドく反ってしまっていました。もちろん、給紙出来るようなレベルでは無かったです。

 

タック紙のメーカーさんに問い合わせたら、もう一度、ユポタックを段ボール箱に戻して、

クラフトテープでシッカリ封をして、オチョコ型を下、(この場合は、ユポ面を下)にして、

一晩、印刷工場内で、保管して下さいとの事でした。

 

実際にやってみたら、ありゃ不思議!次の日には、全て真っ平に直っていました。

理論的には、よく解りませんが、印刷工場の環境に慣らして、湿度や温度を安定させる

って事なのかな?と考えています。

 

夏の暑い時期での経験が無いので、ハッキリとは断言出来ませんし、前述したように、

ユポタックは、湿度と温度でクセが出てしまうと言う、かなり特殊な素材だと思います。

この点、タック紙メーカーさんは、さまざまなノウハウを持っておられると思いますので、

どうか、タック紙メーカーさんに聞いてみて下さい。

 

お役に立てず、申し訳ないです。