印刷Q&A ベタのツブレ | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

● 質問

 

以前、成田先生に、自分の印刷物を見て頂く機会が有りました。

その時、「ベタがアカンわ~」と言われて、あれから随分、改善を

重ねました。かなり良く成ったと思うのですが、理想的なベタと

言う物が、どう言う物なのか、今一度、ご教授下さい。

 

● 回答

 

そうですか!かなり良く成りましたか。そりゃ、今度見るのが楽しみですねぇ~。

あの時は、インキローラーもブランも、かなり悪い状態でしたから、チョッと

改善してやるだけで、ずい分変わるでしょうね。

 

私は、印刷物を評価する時、25倍のルーペで、まず、ベタの品質を見ます。

最近は、濃度計などを使って管理をしてますよね。濃度のみならず、ゲインや

トラッピングまで、数値で表してくれたりしますね。

 

でもね、この濃度計で、例えば、ドットゲインの数値を出して来たとしてもですねぇ、

決して、網点の太り量を、直接読んでるワケではないんですね。ベタ濃度を基準に

して、そこから換算した数値で、ゲイン量を表しています。つまり、ベタ基準です。

 

もっと簡単に言うなら、例えば、ベタ濃度が、1.55 だったとしましょうか。

濃度計の校正が合っていると仮定して(狂ってる事も多いですよ)、A君の、1.55と

B君の、1.55 を比べてみて下さい。同じ、1.55 で濃さに違いが有る事があります。

 

キレイに、サラッと潰れたベタは、1.55なら、本当に、その数値で刷られていますが、

例えば、ベタの着肉が悪く、25倍のルーペで見た時に、細かな紙白が見えるような

ガサガサのベタだったら、紙白の部分が混ざっているため、濃度計の数値が狂います。

 

紙白の部分は、濃度ゼロの白い部分ですから、そのゼロの部分が細かく入って

しまっているベタだと、濃度計は、インキの着いてる部分と、紙白の部分を足して、

平均値で濃度の数字を表してしまうんですよ。ですから、紙白が出たガサガサの

ベタだと、良好なベタよりも、インキを盛らないと、1.55に成らないんですわ。

 

基準は、ベタなんです。その基準に成るベタの品質が悪ければ、こりゃ、どんなに

高性能な濃度計を使ったって、まともな印刷は出来ていないって事に成るんです。

ですから、ベタを正しく、キレイに刷るって事が、とても大切なんですよ。

 

そこで、キレイなベタ、正しいベタってヤツの判別方と言うか、評価方法なんですが、

これはね、私が、どうこう言うよりも、是非とも、自分の眼を鍛えて、自分で評価が

出来るように成ってやって下さい。やり方は、超簡単です。

 

とにかく、自分が刷った物以外の印刷物をイッパイ見てやることなんですわ~。

手近に有る、チラシ、パンフレット、本、隣の機長さんが刷った印刷物。サンプルに

成る物は、いくらでも身近に有ります。

 

そいつらの、ベタ部分を、25倍のルーペで覗いてみて下さい。

自分の印刷物一つだけを見て評価するのは、最初は難しいと思いますが、こうして

複数の印刷物を見比べてみると、これよりも、こっちがイイ!だとか、それよりも、

コイツは最高ッ!だとか、だんだん自分の眼が鍛えられて来るんですわ。

 

ベタが評価出来るように成ったら、次は網点。25倍のルーペが1本有れば、

無限大のように、自分の眼を成長させる事が出来るんですよ。どうか頑張って下さい!