赤ワインの湿し水 | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

♪♪ 恋人はワイン色~ って、チャゲアスのスゴく古い曲です(笑)

 

関西地方の印刷会社さんに訪問して参りました~。

 

今回、赤ワイン色に染まっていたのは、恋人ではなくって、湿し水でした。

・・・そりゃね、もうビックリするくらいに、真っ赤。エッチ液の替わりに、

赤ワインを3本くらい入れたんじゃないのッ!ってくらいに真っ赤でした。

 

こんな事例は初めて見たので、こりゃもう、本当にビックリ仰天ですわ~。

これじゃ、印刷品質もアカンだろうなぁ~と、ベタ部分をルーペで覗いてみると、

エエッ!これで、クレーム無しで納品出来ちゃうのッ!って言う状態。

 

とりあえず、紅のローラーニップを見せてもらうと、なんと、版面に

第4着けローラーのニップが出て来ません。こりゃね、全くアカンですわ。

版面にタッチ出来てないってことは、第4着けローラー上のインキが、

ただただ、こね回され続けているって事なんです。

 

こりゃね、インキが乳化して当然ですわ。乳化したインキが、湿し水に溶け込んで、

赤ワインにしてしまっているんですね~。・・・調整しましょう!「いや、それがですねぇ、

ローラーが細ってしまって、調整しても版面に着かないんですよ。」

 

ずい分長い間、ローラーを換えてないってこと?「そうです。長く換えてません。」

いやいや、それ、アカンでしょう。会社の経営方針など、様々な事情は有る事と

思いますが、まともな整備が出来ていない機械ってのは、人身事故の元なのです。

 

第4着けが着かない。湿し水が赤ワイン色に成る。ローラー交換をしていない。

こうした事を放置してしまっている人を、技術者とは呼ばないです。これはね、

ただ単なる「作業者」なのですよ。印刷機械ってのは、作業者が長年使えるような、

そんな簡単な物ではありません。どうか、立派な技術者に成ってやって下さいな。