印刷Q&A 年末年始・長期休暇前に | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

● 質問

 

もう直ぐ冬季休暇に入られる会社が多いと思いますが、休み前にローラーに

何か塗っておくとか?・ブランケットは緩めておく?・版は付けたまま?防錆しておく所?
など、年末年始の長期休暇前に、やっておくと良い事を教えて下さい。

 

● 回答

1年って、本当に速いですねぇ~。私が京都に住むように成って、もう1年が過ぎて

しまいましたわ~。もう京都での生活にも、ずい分慣れましたが、車を運転してる時の、

他の車の、信号無視のスゴさには、未だに腹が立ちますわ~(笑)。

 

え~と、年末年始・長期休暇前の、印刷機の取り扱いについてですよね。

まず、インキローラーですが、年明けはローラーがメチャ細ってしまってて、

なかなか正常に印刷が出来ないって事が有るじゃないですか。

 

これってね、寒さでローラーが細ってるだけじゃなくて、ローラーの中の溶剤分等が

抜け出してしまって、メチャ細く成るって言う理論が有るんですわ。それを防止するために、

長期休暇前に、インキローラーに薄っすらと、機械油を馴染ませておくとイイって言うのが

有りますね。・・・効果のほどは、やらんよりもイイって言う程度ですかね。

 

ブランケットは、少し緩めておくとイイです。例えば、ピンッと張って保管していた輪ゴム

って、伸び切ってしまって、すぐに、ひび割れたりするじゃないですか。ブランも同じで、

長期で使わない時には、少し緩めておいた方が寿命が延びます。んでも、年明け後に

使う時、忘れて緩んだまま使ってしまうと、非常に危険ですから、「ブラン緩んでる!」

とか、貼り紙でもして、絶対に忘れないようにしないとアカンですね。

 

版はね、付けたままがイイです。版胴が空気にさらされて、錆の原因にも成りますから。

同じ意味で、湿し水のタンクなんですが、エッチ液が入ったままだと、腐敗する事も有り

ますから、一度全て抜きたいですね。

 

でも、湿し水を抜いて、タンクや配管の中が空の状態だと、これまた錆びる可能性が

有りますから、水道水を入れて循環させてから、長期休暇を迎えるようにしたいです。

休暇明けには、その水を全て抜いて、湿し水を作り直すのが理想的ですね。

 

あとね、フィーデングローラー(咬込みローラー)と言って、フィーダーボードに入る手前で、

上下運動をしてる、タイヤのようなローラーが有るでしょう。コイツはゴム製で、当たってる

相手は金属のローラーなんですね。ゴムと鉄が、長い間、同じ部分で接触していると、

当然のように、ゴムの方が凹んで変形してしまいます。

 

フィーデングローラーは、紙を真っ直ぐに出す役目をしてるんですわ。コイツが凹んだり

変形したりすると、紙が不規則に歪んで出るように成ってしまいます。コイツを金属の

ローラーと接触しない位置で停止出来ればイイんですが、構造的に無理な場合は、

上下運動の制限部分に、タイラップバンドの端などを噛ませてやれば、簡単に浮いた

状態を作る事が出来ると思います。

 

これもね、浮かせていた事を、休暇明けの稼動時に忘れてしまうと、紙が全く出ません

から、何か貼り紙でもして、忘れないようにしておくとイイですね。・・・チョッとした気遣いで

印刷機械の寿命は、ずい分と変わって来ます。特にゴム製品の変形や、金属の部分の錆、

湿し水の入れ替え等には、繊細に気を使ってやって下さい。