印刷Q&A 紙とベタと裏移り | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

● 質問

 

ジャンダルコートに苦戦しています。

四六判の180kgで印刷しているのですが絵柄にとても大きなベタがあり

しかも網もあるような印刷物で会社のロゴマークという感じなんですが、

結構濃い目に盛らないとその会社のカラーに近づけないような感じです。

なにぶん裏移りが怖いためスプレーの粉を、多目に振ります。

そうすると、裏移りはしなくなるんですが、今度はスプレーの粉が原因で

粉っぽいというクレームをいただきます。オフセット油性印刷機で、

色はDICの176です。何か上手な印刷の仕方があるんでしょうか?

レベルの低い話ですが、よろしくお願いします。

 

● 回答

 

ずっと、関東方面に出張に行っていまして、回答が遅く成り、申し訳ありません。

 

いえいえ、レベルの低い話ではないですよ。油性の印刷で、紙と色調と乾燥ってのは、

こりゃ、永遠の課題ですもんね。これらを乗り越えないと、良い物は作れませんよね。

 

まず、ジャンダルコートですが、こりゃ確かに、裏移りしやすい紙ですよね。私なら、

「UVで刷りな~」とか言っちゃいますわ(笑)。 そして、DIC176、こりゃ、70%が

カラーガイドグリーンですねぇ。このインキは、濃度が低いですから、本当に必死で

インキを盛らないと、色が出ないでしょうね。

 

紙がヤバい、インキもヤバい、そして色調も盛り盛りで、かなりヤバい!

こりゃもう、立派な三重苦ってヤツですよね~。・・・んでもね、こう言うのをキレイに

仕上げるってところに、「腕の見せどころ」ってヤツが有るんですわ~(^^)v

 

こうした場合、私だと、1版での勝負はしません。網点部分を取り去った、ベタだけの

版を、もう1版作って、2版刷りにしてしまいます。前胴に、このベタのみの版を掛けて

後胴に正規の版を掛ける。・・・同じ色で刷るんですが、いわゆる2色刷りですね。

 

こうすると、1版当たりのインキ被膜を薄く出来て、湿し水も抑える事が可能に成ります。

1版で、盛り盛りにすると、どうしても汚れやすく成ってしまうので、湿し水も多くする

必要が有りますよね。多過ぎるインキ+多過ぎる水=裏移りなんですわ~。

 

2版掛けにすると、ベタのツブレが非常に良く成りますし、多少のヒッキーも、ほぼ皆無の

状態に成ります。湿し水をガチガチに絞って刷ってやれば、パウダーなんて、こりゃもう、

ほんのチョッと有れば充分ッ!

 

あッ、これって、印刷機のメンテ状態が「完璧」での話ですよ。

ローラーが、もうヤバいとか、ブランがアカンとか、ニップとか胴仕立てとか、そう言った、

基本的な部分がシッカリしてないと、こりゃ、ゴマカシのテクニックに成ってしまいます。

 

悪い所をゴマカすテクニックとして使うと、どこかで、大きな、しっぺ返しを喰らう事に

成り兼ねませんので、その点は要注意です!