水舟流量 | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

先週は兵庫県、昨日は岡山県と、西の方への出張が続いていたのですが、

週明けからは、茨城県、埼玉県と、久々に東へ出張です。なかなかブログを

書いている余裕が無くって、更新が途絶えてしまってばかりですわ~。

 

今回は、水舟内の、湿し水の流量のお話です。

オペレータの皆さんは、あまり気にした事が無いかも知れませんが、実はこれ

ケッコウ重要な要素の一つなんですよ。最後まで読まれたら、是非一度、自分の

印刷機械の、水舟流量をチェックしてみて下さい。

 

湿し水の調量ローラーが有って、それに湿し水を供給してるのが、水元ローラー。

この水元ローラーが浸かってるのが、水舟ですね。水舟には、湿し水が溜まって

いますよね。ただ溜まっているだけではなくって、水舟には湿し水が入って来る

入口と、水槽に戻って行く出口が有ります。

 

つまり、湿し水の管理冷却水槽で、冷却された湿し水が、水舟に送られて、また

冷却水槽に戻って行くって機構なので、当然のように、水舟内には、湿し水の

「流れ」が有るってワケなのです。

 

この、流れを、誰が、どうやって決めてるのか?って言うと、例えば、印刷機械が

新台で導入された時に、ウチの会社の技術の者が、コックを調整して流量を

決めていたり、印刷機メーカーの方が、それをやったりしてるワケですわ。

 

湿し水ってね、汚れた物が流れる時も有りますよね。それが5年、10年と使われて

行くと、当然のように、湿し水の循環パイプ内に、その汚れた物が付着して、流量が

少なく成ってしまう事が有るワケなのですよ。

 

せっかく、冷却して冷たく成った湿し水を流してるのに、パイプのつまり等で、流量が

少なく成ってしまうと、水舟内の冷却効率が悪く成ってしまいます。新台の時に流量を

決めて、水舟内の温度を調整してるのですが、流量不足で水舟内の温度が上昇して

しまうと、汚れやすく成ってしまったりとかのトラブルが出て来ます。

 

この流量ってね、強ければ強いほどイイってワケには行かないんですね。強過ぎると、

排水の方が追い付かず、水舟から湿し水が溢れ出る、オーバーフローって言う大きな

トラブルが発生してしまいます。こうなると、印刷中の紙面に湿し水が着く、水垂れと

言う恐ろしい事が起きてしまいますので、絶対にあふれない程度に、強くするって言う、

繊細な調整が必要に成ります。

 

最近は、オーバーフローセンサーが付いている印刷機も多いので、そのセンサーが

感知しない程度に強くってのがイイかも知れませんね。また逆に、排水口の汚れに

よって、オーバーフローする事も多々有りますから、排水口周りの清掃も大切です。

 

流量不足に成ってしまっている状態が改善されると、版面の温度が安定して、汚れに

悩まされる事が低減したりしますので、チョッとだけ気を使って見てやって下さい。