印刷Q&A ヴァンヌーボ | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

● 質問

 

通常は主にパッケージ系の厚紙を印刷していますが、今回、初めて、

ヴァンヌーボと言う紙を刷る事に成りました。表面がラフで刷り難そうな

紙に見えるのですが、印刷時の注意点等を教えて下さい。

尚、印刷物はパッケージとして使います。当方、油性印刷です。

 

● 回答

 

初めて刷る紙ってのは、本当に怖いですよね。何が起こるか分からないですもんね。

最近はデザイナーさんとか、紙の風合いにコダワる方が多くて、こうした表面がラフな

風合いの紙が好まれるように成りましたね。

 

んでも、我々、印刷する方は大変ですわ~。表面がラフと言えば聞こえはイイかも

知れませんが、悪く言えば、デコボコ。そんなデコボコな表面に、インキがまともに

着肉出来るはずもなく、網点だって、「なんじゃこりゃ!」って感じです。

 

まぁ、それでも、本紙で色校を出して、OKをもらえれば、その点はクリアー出来ます

わね。・・・刷り辛い、乾き難いって、よく言われますけど、私は、その点あまり気にした

事がないです。油性でも、普通に棒積みで刷ってました。特別なインキを使うのは、

あまり好きではないので、普通のプロセスカラーインキで刷ってましたね。

 

んでも、この紙の1番の問題は、印刷後なんですわ。この紙に限らず、表面がラフな

紙ってのは、要するに「サンドペーパー」みたいなもんですわ。乾燥して製品に成って、

半年経った後でも、この紙に印刷された絵柄部分と、紙白の部分を、コシコシと擦り

合わせると、紙白の方が真っ黒に汚れてしまいます。

 

んじゃ、表面保護をしましょ!とか言って、マットOPニスを全面に掛けたりするん

ですが、・・・アカンですね。強力なサンドペーパーですから、OPニスごときでは、

保護し切れず、やっぱり汚れてしまいます。

 

この紙をパッケージに使うとしたら、こりゃ本当に要注意ですよ。パッケージに商品を

入れて、トラック等で搬送すると、そのトラックの振動だけでも、汚れが出てしまって、

多くの場合、クレームに成ってしまいます。また、この商品を購入した一般ユーザーさん

が、そのパッケージを小脇に抱えたら、白い着物が汚れてしまった!なんて言ったら、

こりゃ、賠償問題にまで発展しかねないです。

 

表面を、PP貼り等でシッカリ保護するとか・・・、そんな事したら、紙の風合いが無く成って

しまいますわね。あとはね、今、大流行の、高感度UVで刷った方が無難だと思います。

パッケージに「折り加工」が有ったりすると、「背割れ」が発生してしまうかも知れませんが、

その点は、事前に、お客さんとシッカリ話し合っておくべきでしょうね。

 

高感度UVでも、若干の擦れ汚れが出ます。ましてや、油性では、悲惨なもんですわ~。

それでも、刷るのであれば、少しだけ試し刷りをして、どれくらいの擦れ汚れが出るのか、

お客さんに見てもらって、その上で、対応して行った方が良いですよ。