現場は、人なり! | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

昔から、よく言う言葉なんですが・・・

「企業は『金』なり!」と説くのか、「企業は『人』なり!」と説くのか。

どちらにも理由が有り、どちらにも、大いなる説得力が有る話ですよね。

 

私が大好きな、もの造りの物語、トヨタ自動車の創成期を描いた「リーダーズ」での、

豊田喜一郎社長は、あのドラマで見る限り、完全に 「企業は人なり!」 と、

説いていました。・・・なので、お金に苦労をし、倒産の危機に追い込まれたのかも

知れませんが、人に惚れ、人が集まって行く光景には、涙が出ました。

 

「企業」と言う括りでモノを言うのであれば、「金なり」も、「人なり」も、私としては、

どちらにも理が有ると思っていますので、どちらにも承服し、付いて行く事が出来ます。

しかし、この括りが「印刷現場」、であるならば、これは完全に「人なり」なのです。

 

「成田さん、そうは言うけどさぁ・・・。マンパワーに頼って、現場のリーダーを作った時、

そいつが、事故に会って、職場復帰不能に成ったり、何かの理由で退職してしまったり

したら、現場が崩壊してしまうだろう。人に頼るってのは、そう言うリスクが有るんだよ。」

 

確かに、それは一理有りです。リーダーズの豊田喜一郎社長も、非常に有能な技術者を

第二次世界大戦の徴兵で失って行きました。でもね、「現場は人なり!」と、強く貫く現場

には、シッカリとした、その精神が根付いていて、第二・第三の優秀なリーダーが、すぐに

登場して来るんですわ。

 

印刷と言うのは、非常に難しい技術です。しかも、たくさんの知識が必要に成ります。

私のように、日本各地の印刷現場を回っていると、とても良く分かるのですが、

良い印刷現場には、必ずと言ってよいほど、非常に素晴らしいリーダーがいます。

 

そのリーダーの意気込みに引っ張られて、現場の中の一人一人の眼が、活き活きと

輝ており、初対面の私に対しても、笑顔で挨拶をしてくれます。 優秀なリーダーが、

若い人達にも、シッカリとした目標を与えており、前を向く事を教えているんですね。

 

こう言う現場ではね、やる気の無いヤツ、前向きでないヤツってのが、生きて行け

ませんから、意識改革の出来ないヤツは、すぐに辞めて行きます。ですから、こんな

現場に居る全ての人が、本当に活き活きしてるんですわ。

 

それに対して、優秀なリーダーが不在の現場ってのは、こりゃね、全員の眼が死んでます。

挨拶をしても返す事が出来ない。うまく成ろう!とか、良い物を刷ろう!なんて意識は全く

有りませんから、今日のノルマが終わるまで、淡々と作業を消化しているだけです。

 

現場ね、『人』なんですよ。

良い現場を作りたいのなら、「良い人」を作るための努力を決して惜しんではいけません。

んじゃ、印刷現場にとって「良い人」を作るためには、どうしたらよいのか?

とても難しいのですが、それこそが、経営者が、必死に成って考えなくては成らない、

非常に大切な事であると思います。良い物を作れない会社に、未来は有りませんよ。