工場環境 | 1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

以前、換気扇の問題を書いた事が有るんですが、昨年末に、

二つの印刷工場で、その実態を見て来ましたので、紹介させて頂きます。

 

まず一つ目は、菊全5色機(高感度UV)と、菊全両面2色専用機(油性)が

入った工場です。当社(コスモテック)のウルオス(加湿器)が入ってる工場で、

ウルオスのミスト噴射ヘッドが、7機も設備された工場です。

 

工場内の室温は、20℃を少し切るくらい。暖房は入っていますが少し室温が

低めの感じですね。・・・この工場に、業務用のデッカイ換気扇が4機、付いてて、

これが、全台フル回転で排気してるんですわ~。

 

工場への入り口は鉄製の引き戸で、「シメロ!」と、大きく書いてありました。

・・・「シメロ!」じゃ、ねぇ~ですわ。「換気扇を止めろ!」の方が絶対に効果が

有りますって。デッカイ換気扇を4機も回してたら、いくら加湿器が頑張ったって、

湿度を上げる事なんか出来ませんよ~。

 

もう一つは、高感度UV、菊全5色機、同4色機、同4/4両面機の3台が入った、

素晴らしい設備の工場。印刷機の熱の発生部分に排気ダクトを付けて、高温な

排気エアーを、全て工場外に強制排気していると言う、羨ましいような設備です。

 

でもね、この強制排気の設備も、やはり換気扇と同じなんですね。

5色機のフィーダーのすぐ後ろに、出荷場所が有って、そこには扉も何も無く、

完全に屋外と繋がってしまっている状態です。仕切りは、短冊状の透明樹脂の

カーテン(印刷工場でよく使ってるヤツです)。

 

この透明カーテンが、工場内に向かって風で煽られてしまって、外気がガンガン

入って来てしまっています。その日の外気温が6℃。実際に、その5色機の

フィーダーから1胴目あたりまでは、ほぼ外気温と同じ寒さです。

 

これじゃね、まともな印刷なんか出来やしないですね。その為かどうかは

分かりませんが、墨のインキにタラタラなほど軟らかい物を使っているんですわ。

藍は普通の硬さで、紅がまたタラタラ。これじゃ本当に、まともな印刷は出来ない

ですよ。

 

私は、ユポの印刷が多かったんですが、ユポって、インキも水も、その調整が

めちゃシビアで、印刷中に扉が開いて外気が入って来ると、一気に汚れて

しまったりするので、ユポの印刷中は、扉を閉めて「立入禁止!」の張り紙をして

刷ってました。

 

温度の安定って事も、とても大切ですが、加湿してる工場内に、乾いた寒風が

吹き込むってのは、かなりヤバいんですよ。換気扇をガンガン回してる皆さん、

是非1度、換気扇をOFFにして、その安定度の高さを実感してみて下さい。