印刷Q&A 結露は何故起こる? | 1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

●質問

 

菊半4色機のオペレータです。先日、成田先生のブログを読んでいたら、

圧胴の結露の話が出ていました。自分でも思い当たる事が有ったのですが、

あれは、圧胴の結露ではなく、刷版の湿し水が、圧胴に付着した物だと

考えていたのですが、どうもツジツマが合わないような気がしていたところ、

成田先生のブログを読んで納得しました。

そこで新たな質問なのですが、そもそも「結露」と言うのは何故発生するの

でしょうか?その点、素人並みの知識しか有りませんので、分かりやすく

解説して頂けると助かります。

 

●回答

 

結露って言ってしまうと、チョット難しいように思えてしまいますが、一番身近な

結露は、氷の入ったコップの外側に付く水滴ですよね。ビールのジョッキの

外側にも、水滴が付きますね。あれも、結露なんですよ。

 

氷入りの飲み物が入ったコップ、冷えたビールのジョッキ。どちらもコップの中

には、冷たい物が入っていますよね。そして、コップの外側の室温や外気温は、

コップの中に入った飲み物よりも、当然のように、温度が高いんですね。

 

コップの内側と外側、この「温度差」が、結露の原因なんですよ。

相対湿度と絶対湿度ってお話に書いたように、空気中の水分量って言うのは、

気温と密接な関係があってね、例えば10℃の気温では、9.4g/㎥ つまり、

1㎥あたり、9.4gの水分しか、含む事が出来ないんですわ~。

 

これ以上の水分が発生すると、壁や天井に水滴が付いてしまいます。

この、水分を含む事が出来る限界の値を「飽和水蒸気量」って言います。

この飽和水蒸気量ってのが、気温によって、メチャクチャ変わってしまうんですわ。

 

例えば、10℃では 9.4g/㎥ が限界なんです。これが25℃だと 23.0g/㎥

もっと気温が高くて、30℃なら 30.3g/㎥ の水分を含む事が出来るんですね。

前回出した問題で、気温10℃湿度80%の場合と、30℃・30%の場合では、

どっちが空気中の水分量が多いか?ってのが有りましたよね。

 

10℃の飽和水蒸気量は9.4g/㎥ その80%だと、0.8を掛けて、7.52g/㎥

30℃の飽和水蒸気量は30.3g/㎥ その30%だと0.3を掛けて、9.90g/㎥

ねッ!80%対30%なのに、30℃の時の方が、少しだけ水分量が多いよね。

 

室温25℃のテーブルに置かれた、冷たいビール。このビールジョッキの表面は、

中身が冷たいビールなので、かなり冷える事に成りますわね。その冷えた表面の

部分は、一気に飽和水蒸気量が小さく成ってしまうので、我慢が出来ずに水滴と

成って、結露が発生してしまうってワケなんですよ。

 

印刷機の圧胴も同じなんです。周りが暖かく成っても、圧胴は、なかなか暖かく

成りませんから、その温度差で、圧胴の表面に結露が発生してしまうってワケ

なんですね。・・・チョット難しかったですか?