ニップ調整 | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

ブログで~す。

最近ね、ローラーのニップ(接触幅)調整を自分で出来ないオペレータが
増えつつあるのですよ。超大企業の印刷会社さんでは、そうした調整は、
オペレータがやるものではなく、印刷機メーカーと契約をして、メーカーが
保守管理を含め、やってくれるもの。って言う考え方があるんですね。

まぁ、それならそれでもイイんですが、印刷機の調整やメンテが出来ない者を、
オペレータとは呼びたくないなぁ。(考え方が古い!と叱られそうですが)

オペレーションをするって事は、全てを含めて「コントロールをする」って事
なのだと思うんです。ニップが調整不良の印刷機を、自由自在にコントロール
するなんて事は、出来ません。

インキローラーってヤツは、そのほとんどが「ゴム」ですよね。ゴムってのは、
温度によって太さが変わるし、経年劣化で細く成ったり硬く成ったりして、
どんどん変化して行きます。その変化に応じて、常に調整をして行かないと
正常なニップを保つ事が出来ないんですよ。

我々の時代は、印刷4割、機械調整6割、なんてのがオペレータの仕事でした。
それくらい、不出来な機械だった(機械メーカーさん、失礼ッ!)ってこと
だったんでしょうが、とにかく、作業着のポケットには常にスパナが入って
いたし、自分の手は、インキで黒く成るより、機械油で黒く成っていたって
感じでしたもんね。

ローラー調整ってヤツはね、慣れれば簡単に出来てしまうものなんですわ。
人間の病気と同じで、症状が軽いうちに治療をしてやれば、本当に簡単に
直す事が出来るんですが、放置して重傷に成ってしまうと、その周辺の部品を
全て交換するとか言うような、大手術が必要に成る事も有ります。

大手術後ってのは、これも、人間と同じでね、どうしても、後遺症が残って
しまうんです。新品の時のような性能は、二度と戻って来ないんですよ。

印刷機のオペレータってのは、ただ単に「印刷をする人」と言うのではなくて、
仕事の段取りから、資材の選択・確保、そして、印刷機の全てを把握して、
それら全部を「確実にコントロールして行く人」の事を言うんだと思います。