印刷Q&A 金・銀の印刷 | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

●質問

菊半の4色機を使っています。2~3ヵ月に1度程度で、
金ベタの印刷が有ります。けっこう盛って、濃度を出さなと、
クレームに成ってしまうので、盛り気味で印刷をするのですが、
ベタの中に白抜きの文字があり、それが、すぐに埋まってしまい、
印刷が、なかなか進みません。水の調量ローラーも、すぐに
絡んでしまって、掃除ばかりしています。こうした事を改善する
ために、何か良い方法は有りませんか?

●回答

まず、結論から言ってしまうと、インキの出し過ぎなんですわ。

金や銀のインキってね、普通のインキに比べて「顔料」が重いんだそうです。
例えば、ブラック(墨)の顔料って、カーボン・ブラック。いわゆる、スス
ですよね。それに比べて、金や銀は、金属の粉なんですよ。

この顔料を、インキ壺から刷版まで運ぶのが、ビヒクルと呼ばれる、いわゆる油
なんですわ~。単純に考えてみて下さい。インキ壺から出たインキはローラーに
絡んで、刷版まで運ばれて行きます。

プロセス4色等、普通の顔料はサラサラと運んで行けるんですが、金や銀の顔料は
重い分だけ、なかなか運べないんですよ。ですから、普通のインキのような感じで
金や銀をローラーに撒くと、全くインキが出てないような状態に成ってしまって、
その状態で印刷しても、ほとんど色が出てないって感じに成ってしまうんですね。

こう成ると、当然のようにインキを、もっと出す事に成るんですが、この時に、
インキ壺の開き度合いとかを多くしてしまうと、最悪なんですよ。

一番最初の刷り出しで、紙に乗った金色が淡いのは、ローラー上に、充分なインキ
が無いからであって、インキ壺の出方が少ないからではないんですね。ですから、
この時点でやる事は、もう少し多目に、金インキをローラーに撒いてやる事なん
ですわ~。・・・取りあえず、この時点で壺の開度調整とかは無しね。

我々ベテランは、回転するローラーの音を聞いて、インキが出ている量を判断したり
するんですが、これはチョット難しいかと思います。とにかく、転移や流れの悪い
インキですから、少しでも、普通のインキのように流れる工夫をするのがイイですね。

と、言う事で、私がお勧めしているのは、メジウムの混入なんですよ。金インキに
10~20%程度、メジウムを入れて、一生懸命に練って使ってみて下さい。こうする
ことで、転移や流れが、普通インキに近く成りますから、ずい分、楽に成ると思います。

また、メジウムは水幅を広くしてくれますので、抜き文字の埋まりも、かなり楽に
成ると思います。メジウムを入れると、濃度が低く(淡く)成ってしまってアカンの
では?と言う声を聞きますが、その点は、大丈夫です。

キレイに転移さる金インキは、10や20%ごときのメジウムでは、ビクともしません。
是非、試してみて下さい。