●質問
印刷会社で、用紙の購入等を担当しています。
当社では、上質紙を大量に使用するので、上質紙に関しては、
銘柄が決まっているのですが、A2コート紙に関しては、
特に銘柄を指定しておらず、どれが良いのか悩んでいるような
状態です。各銘柄、いろいろな特徴が有ると思いますが、
何かお勧めの銘柄はありますか?
●回答
ハハハ、なかなか答え辛い質問ですねぇ~。どれがイイか?ですか~。
紙ってね、地域性が随分出るものなんですよ。我々、印刷をする側からしてみれば、
「刷り易い」って事が、一番の条件に成るかと思いますが、この「刷り易い」って
言う条件の中には、かなり色んな要素が含まれるんですわ~。
まずは「乾燥性」。同じA2コートなのに、乾燥が速い物と、あんまり速くない物
まで有ったりします。そして「発色性」。まぁこれは、多くの場合、紙の白色度が
大きく関係して来ますよね。白色度が高い方が、発色がイイですね。
あとは「紙クセ」。カールが激しい紙とか、変なクセが付いてしまってる紙はイヤ
ですわ。そして、そうした事を、全てまとめた「安定性」。・・・多分、この安定性
ってヤツが一番の問題だと思うんですよ。
同じ銘柄なのに、3ヵ月前に納入されたのと、今月納入されたのでは、なんか違う。
今月のは刷り辛い。なんてのが一番アカンですね。・・・「紙は生き物だ」って昔から
言われていますが、本当に生き物だと思います。
生まれたて(抄紙後すぐ)の状態は、変化が激しくて安定性が非常に悪いんですよ。
抄紙後、数か月とか、充分に寝かせてやると、ググッと安定性が良く成るんですわ。
・・・地域性と言ったのはココなんですね。遠方の製紙工場で作られた物は、充分に
寝かされた物が多いので安定性が優れる。近くの工場で作られた物は、寝かされる
期間が短いので、安定性が悪い。なんて具合です。
「なま紙」に対して「枯れた紙」なんて言い方を、昔はしましたが「枯れた紙」の
方が、安定性がイイって事なんですね。
今時のA2コート紙は、どのメーカーの物も、本当に高品質に成りました。どこの
物を選択されても遜色はないと思います。ただ、どの紙にするにしても、実際に
印刷作業をしている現場の意見を、充分に参考にして頂けると良いかと思います。