●質問
初めて質問させてもらいます。宜しくお願い致します。
先日、別のサイトにて高感度UVの金・銀インキやニスなどについて教えて頂きま
した。前から疑問に思っていたのですが、高感度UVで主に上質紙に掛け合わせの
ベタがある場合に、どうも潰れ具合が今ひとつというより、はっきり言って油性の
方がきれいだと思って見ていました。
酸化重合で紙に浸透もする油性の場合と、UV装置により強制乾燥させるのとでは、
見た目に違いが出るのはある意味仕方のない事かもと思ってもいました。
そこで質問になりますが、高感度UVで自分が思っているベタの潰れが悪いという
のはうちの機械だけなんだろうか?という事です。
先生が常々言っておられるように、高感度UV自体がまだ完成された技術ではなく、
インキメーカーなどは改良を重ねていると思います。もしうちだけの問題であるなら
改善をしていかなければなりませんし、全般的に潰れが悪い傾向にあるなら他社では
どのように対策を立てているのか?という疑問が生まれます。
まだ入社以来日も浅く、主に軽印刷と製本を生業としてきた自分にとって、高感度
UVは経験は勿論、知識も全然でした。現在の立場になってしまうと、いつまでも
そういう言い訳をしてもはじまらないし、積極的に各業者・各メーカーなりの
ノウハウを吸収して行かねばと思い、あえて質問させて貰いました。
というわけでご回答をお願い致します。(ユニークな回答期待してます。)
・・・「これで回答になってますかな?」のフレーズ以外で。(笑)
●回答
いやいやいや、今回の質問者さんは、ネット内での、仲間内の方なんですよ~。
仲間内から「先生」とか呼ばれると、お尻がくすぐったい気がしてしまいますねぇ~。
しかしまぁ、回答文なみに長文の質問ですねぇ。しかも、ユニークにボケろと・・・。
…ユニークってのは、古くは平安時代から使われている言葉なのだそうでして。
その頃でも「湯治」と言う風習があり、庶民的には「療養で、湯に行く」などと、
使われておったのだそうな。「湯に行く」=「ユニーク」・・・お後が宜しいようで。
いや、質問内容が、とっても興味深いので、こりゃ、真面目に回答させて欲しいん
ですわ~。なので、ボケの方は、この程度で、ご勘弁して頂きたく存ずる次第で~。
高感度UV、網点もベタも、おっしゃる通りアカンです。私なんぞは、毎日、
そんなんばかり見てますから、たまに油性を見ると、あんまりキレイ過ぎて感動して
しまうほどなんですよ。・・・印刷品質は、油性の方が圧倒的にキレイです。
ベタの潰れ、本当にアカンですねぇ。FMスクリーンの 90%部分じゃないか?って
言うくらいに、細かな白抜けが出てしまってたりしますね。ありゃアカンですわ。
そんな、潰れの悪いベタを、100%として、それを基準に、濃度計で色調管理をして
しまうと、メチャメチャ濃い(暗い)印刷物に成ってしまいますね。
一つの問題は、おっしゃる通り、インキです。硬化開始剤って言う、紫外線に反応して
インキを硬化させる物が入っているんですが、こいつが、ゴムを痛めつけてしまうん
ですよ。「膨潤」と言って、ゴムを膨らませてしまうんですね。
不要に成った油性のブランに、高感度UVのインキで、「あ」とか、文字を書いて
一晩、放置してみて下さい。次の日に、インキを拭いてみると、その文字の通りに、
インキの乗った部分のブランが、膨らんでしまうんですよ。
こう言う事が起きてはアカンので、高感度UV(普通のUVも)は、UV専用の
ブランを使う事と成ります。このブランがね、印刷品質的に、良く無いんですわ。
もう一つ、ブランに対する「染み付き」の問題も有ります。UVのインキってね、
同じ絵柄を、大量に印刷すると、その絵柄が、ブランに染み付いてしまうんですよ。
染み付いたブランで、平網を刷ると、グロスゴーストのように、染み付いた絵柄が
オバケの様に、現れてしまいます。
こうした、膨潤や染み付きの問題を解消するために、UV用のブランは、いろいろと
工夫されてるんですが、そのおかげで、ベタの潰れや、網点の再現性が犠牲に成って
しまっています。
膨潤や、染み付きを無視して、油性のブランを使うと、印刷品質がメチャ良く成ります。
実際に、品質を重視して、油性のブランで印刷されているUV屋さんも、少なくはない
んですよ。だた、ブランの交換は、超頻繁に成ってしまいますけどね。
ここ一発の品質が欲しいのであれば、油性のブランを使うのは、アリだと思います。
ただ、最近は、UVのブランも、いろいろ改善されていますので、いろんなメーカーの
ブランをテストされるのも有効だと思います。
・・・と言う事で、回答に成っていますかな。
あっ、決して、タテ読みとかには成っていませんので、無駄な努力はなさらないように。