●質問
あの、大変申し訳ありませんが、高演色インキの解説を是非とも
お願い致したいのですが。前回の解説では、全く回答に成って
いないと思われますので、何卒宜しくお願い致します。
●回答
あっ、そうですよね。高演色インキの解説をしなきゃアカンのでしたね。
大変申し訳ありませんでした。でもね、もう一つだけ話を聞いて下さいな。
女神インキって言う、メーカーが有るじゃないですか。印刷インキなのに、
「女神」って、ちょっと怪しげだと思いません?・・・実はですねぇ、これには
深~い理由が有りましてね。長い話に成ってしまうんですが・・・。
あっ、いかん、いかん。今回こそは、高演色インキの解説をせねば。
しかし、女神さんの話は、スッゴクおもしろいんですけどねぇ~。
え~とですねぇ。フォトショップを触ってる方は、よくご存知だと思うんですが、
もともと、写真データってのは、RGBの、光の3原色で表現されてますよね。
しかし、これでは印刷が出来ないので、「CMYK」のデータに変換するってワケ
なのですが、RGBからCMYKに変換すると、色調がメチャ変わってしまうんです。
「色域が広い」とか、狭いとか言うんですが、例えば、お客さんが、海外旅行に
行かれて、とても奇麗な、エメラルドグリーンの海を撮影されて来たとしましょう。
そして、その写真を、パンフレットに掲載しようとしたとします。
エメラルドグリーンってのは、簡単に言ってしまえば「蛍光色」ですよね。
RGBの世界では、その蛍光色を奇麗に表現する事が出来るんですが、印刷の
CMYKでは、蛍光色なんて、出るわけがないんですよ。
フォトショップの画面上で、エメラルドグリーンを、RGBからCMYKに変換した
瞬間、「なんじゃコレ!」ってくらい、変な色に成ってしまいますよね。でもこれが
我々、印刷の世界での限界なんですわ。
その限界に挑戦したのが、高演色インキなんです。美しいエメラルドグリーンや、
オレンジ系の蛍光色なんか、本当に奇麗に再現してくれます。
でもね、発売されても、あまりウケなかった。・・・いろいろ問題が有ったんでしょうね。
まず第一の問題は、耐光性。すばらしい色彩の高演色インキで、でっかいポスターを
刷ったら、メチャ映えるんでしょうが、キレイな色調ってのは、耐光性が非常に弱いん
ですよ。せっかく奇麗な色なのに、光に当たって、すぐに退色してしまってはねぇ。
あと、色調が鮮やかな分、重厚感が失せてしまっています。シャドーが非常に甘いん
ですよ。私的には、あのシャドーの甘さは、好きじゃないですね。それから、インキの
値段が非常に高いんですよ。
高演色インキで、鮮やかで高価な顔料を使ってるんだから、そりゃ、値段が高くても
仕方がないとは思うんですが、高価な顔料を使ってるのは、藍、紅、黄の3色だけ
ですよね。墨まで顔料を替えてるワケではないと思うんですが、その墨インキも値段が
高いんですよ。あれはチョット納得が行かないなぁ~。
うまく使えば、非常に表現力豊かな印刷物が出来上がります。今まで、見た事もない
ような、素晴らしい色彩を表現する事が可能です。それはそれで、営業戦略上、とても
素晴らしい武器に成る事と思います。
でも、耐光性が弱い、値段が高価である等の弱点もシッカリと把握しておいて下さい。
また、印刷もケッコウ難しいです。仕事として営業刷りをする前に、印刷現場で、
テスト刷りを、しっかり行って下さい。