印刷の不安定要因 | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

技術系のブログで~す。

オフセット印刷って、突き詰めて行くと、本当に難しい技術ですよね。
オフセット印刷技術を、難しくしてしまっているのは、何でしょうか。
私の独自な理論ですから、参考程度に読んで下されば幸いなんですが・・・。

オフセット印刷ってね、「紙」「インキ」「水」って言う、非常に不安定な物を、
制御しなければ成らないんですね。私はこれを「印刷の三大不安定要因」って、
勝手に名前を付けて、そう呼んでます。

例えば、紙。伸びるし縮むし、波は打つし。こんな不安定なモノは無いですよね。
こんな変化の激しい不安定な物でも、我々は、これを制御し、正確に給紙させ、
決められた通りにインキを乗せて、製品を作って行かなきゃアカンわけですわね。

紙ってね、何でこんなに変化してしまうんでしょうか?紙を変化させてしまう要因
って、何でしょうか?・・・こりゃ、簡単な質問ですね。紙を変化させてしまうのは
「湿度」の変化ですよね。

湿度が高ければ伸びるし、低くければ縮む、湿度が安定しないと、波打ちが発生する。
我々は、こんな紙の上に、0.1mm以下の精度で、絵柄の見当を合わせて行かなきゃ
成らんってワケなんですよ。こりゃねぇ、技術的な難易度が高いのも当たり前ですわね。

紙は「湿度」と言う要因で、大きく変化する。んじゃ、インキを変化させてしまう要因
って何でしょうか。・・・インキは「温度」の変化に、超弱いですよね。寒くて温度が低いと
インキヘラが刺さらないくらいに、ガチガチに硬く成ってしまうのに、その同じインキを
暖かい所に置いておくと、これまた、インキヘラですくえないくらいに、ダラダラに
成ってしまいますもんね。

インキの硬さの変化は、網点のドットゲインに大きく影響します。硬いインキは、しっかり
盛っても、なかなか網点が太りませんが、軟らかいインキは、ちょっと盛り気味にすると、
ドバッと網点が太ってしまいます。

インキの硬さなんて、朝の刷り出し時と、昼休み前と、夕方では、こりゃ当然のように
変わってしまいますよね。何が変化してしまっているのかというと、一番影響が大きい
のが、温度の変化ってワケなんですね。

温度が上がって、インキがタラタラに成ってしまうと、汚れが出やすく成ってしまいます
よね。汚れてしまうから、しかたなく湿し水を多目にする。この湿し水がインキの中に
入り込むとね、これは一気に、インキの粘度が下がってしまうので、これまたゲインが
大きく出てしまうんですよ。

この、非常に不安定なインキで、我々は色調をキープして行かなくては成らないのです。
そして、もう一つが、湿し水。こいつはね、混ざり物、難しい言葉でいうと、夾雑物って
ヤツで大きく変化してしまいます。

常に奇麗な水ならイイんですけど、紙粉やら、インキの溶け込みやら、湿し水の性能を
劣化させてしまう物が、イッパイ入って来てしまうんですね。んじゃ、高性能な濾過装置
で、常にキレイにしておけばいいじゃん。って話に成るのですが・・・。

湿し水には、オフセット印刷にとって、とても大切な、エッチ液ってのが入ってますよね。
濾過装置はね、大なり小なり、このエッチ液成分まで濾過してしまうんですよ。これも、
印刷を不安定にしてしまう大きな要因に成ってしまうんですね。

まだまだ、説明が足りませんが、「紙」「インキ」「水」、この三大不安定要因を、
ウマく制御する事が出来るオペレータの事を「良いオペレータ」と呼んでイイのだと、
そう思います。