●質問
先日「フィーダーとデリバリィの技術がウマいオペレータは、
良い技術者である」と言う文章を読ませてもらったのですが、
それらを除いたとしたら、どんな事が大切だと、成田さんは
考えておられますか?
●回答
良い技術屋の条件。って事で、回答させて頂ければイイですかね。
昔から、一貫して言っているのは「技術力とは、スピードである。」
ってヤツですね。技術力が高いほど、処理スピードが速いんですわ。
その逆に、どんなにイイ物を仕上げたとしても、スピードの遅いヤツは、
プロの技術屋とは、言わんです。そりゃ、アマチュアですわ。
例えば、8時間耐久レースで有名な、鈴鹿サーキットでの話なんですが、
「この 400ccのバイクで、コースを1周して来い」と言われたとしましょう。
バイクの運転が出来ない人は、クソ重いバイクを必死に押して、1周して
来る事に成りますよね。時間としては、1周で2時間くらいかな?
一応、バイクの運転が出来る人なら、1周で10分~15分くらいでしょうか。
そして、バイクの運転技術を持った人なら、5分以内で1周出来るでしょう。
もっと技術的に優れた、プロのレーサーなら、2分台で1周してしまう。
なんで、こんなにタイムの差が出来てしまうのか?それこそが、技術力の差
なのですよ。そして、ここで肝心なのが「安定した速さ」ってヤツなんです。
素晴らしく速いタイムで1周したとしても、その後で、コケてしまっては、
こりゃアカンですよね。速いタイムを、何周でもキープ出来る事が、プロと
しての、当たり前の条件なんですわ。
印刷機も同じですよね。我々はプロのオペレータですから、当然のように、
1日の生産量をマネージメント出来なくてはアカンわけで、そのためには、
処理スピードの速い、安定した生産を要求されるワケですわ。
スピードは速いけど、いつも印刷後に検品ばかりしなきゃアカン。なんてのは
完全にプロ失格でしょう。コケてばかりの、ヘッポコライダーですわね。
ちょっと、自分の印刷機で考えてみて下さい。
例えば、3万通しの4/0が有ったとしましょう。8時半~17時半までの8時間で、
あなたなら、何台、刷り上げる事が出来ますか?・・・紙サイズとか絵柄とか紙質
とか、面倒な条件はナシ。一番、やり易い物で考えてみて下さい。
8時間の勤務ですから、3万を3台で、9万通しってのは、チョット無理ですね。
でも、2台なら、6万通しですから、こりゃ、鼻歌で定時に終わらにゃアカンですね。
(印刷機の最高スピードが、毎時1万回転以上の機械に限りますが)
んじゃ、今度は、3千通しの4/0です。これなら8時間で、何台、刷り上げられます?
3千枚通すのに、20分だとして、版替え見当・色合わせで、チョット甘めに20分だと
したら、1台に掛かるのが、40分ですよね。8時間は、480分ですから、割ってやれば
12台と言う答えに成りますね。
プロの技術屋ってね、こうして、計算が成り立つ者のことを言います。
実際の仕事では、様々な悪条件が重なるかも知れません。紙のクセが悪くてスピードが
出せないとか、色調が悪くて色出しに苦労をしてしまうとか、機械の調子が悪くて、
なかなか安定しないとか。
でもね、そうした全ての事をも、マネージメントし切ってしまう力こそが、本物の
プロの技術屋の技術力だと、思っています。・・・そうした、何もかもをも、全て
まとめて、安定したスピードを、常にキープ出来る者が、本物のプロの技術者である。
と、そんなふうに考えています。