印刷Q&A 工務の存在意義 | 1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

●質問

印刷会社で、工務をしています。
最近は売り上げも落ちてしまい、人員削減的な要素から、
実務に携わっていない(印刷オペレータではない)者から、
順次、給料カットやリストラが始まってしまいました。
私は、工務という職に誇りを持っているのですが、それが
オペレータより先に、減給やリストラ対象になる事が、
非常に腹立たしく感じています。その点、成田さんは、
いかがお考えでしょうか。ご意見を伺わせて下さい。

●回答

業界全体が悪く成ってしまっていますから、ある程度の減給とかは、
こりゃ容認して行かないと、会社自体が立ち行き成らなくなってしまう
可能性も有りますので、協力が必要かと思います。

でもね、工務を軽視する事に関しては、私も非常に腹立たしく思いますね。
実際に生産に携わっているか、いないかと言うモノサシで測るってのは、
その経営者のバカさ加減を露呈しているとしか思えません。

例えば、自動車レースのF-1の世界。スターのようなドライバー(パイロット)の
存在が際立っていますが、ドライバーだけが優れていたって、レースで優勝するなんて
ことは、絶対に不可能なのです。

有能なメカニックがいて、超優秀なピットクルーがいて、それをサポートするチームや
スポンサーがいて、初めて優勝争いが出来るようになるのです。ドライバーだけでは
優勝争いどころか、予選で勝ち残ることすら出来んのです。

F-1のエンジンは、超高回転型の、超高性能エンジンです。でもね、このエンジン
ですら、エンジン単体で高性能を発揮する事は不可能なんですよ。このエンジンを、
焼け付きから守り、高回転でもトラブルなくそのパワーを発揮させるためには、
超高性能な潤滑油、つまり、オイルが必要なのです。
オイルが劣悪であれば、そのエンジンのパワーも半減してしまうのです。

工務さんってね「オイル」だと思うんですよ。営業が受注して来た仕事を整理し、
一番、効率の良い方法で段取りを組み、機長の能力をフルに発揮させるように、
仕事を整えて行く、こりゃ完全に、潤滑油のような仕事だと思いませんか。

実際に工務がいなかったら、印刷機の機長は、いちいち営業マンと話をしなくては
ならず、紙が無いだとか、原稿が無いだとか、その度に、生産を中断して、物探し
をしなくては成らなくなってしまうんですわ。

潤滑油が潤滑油の役目を、しっかり果たしているから、効率的で間違いのない仕事が
出来て行くのです。この潤滑油の役目を軽視してしまっては、アカンのですよ。

ちょっと過激かも知れませんが、工務を軽視する姿勢を持った会社だからこそ、
この不景気のために、より大きな打撃を受けてしまっているのかも知れませんね。

今一度、よく話し合ってみて下さい。