●質問
先日、古くから付き合って頂いてるお得意さんから、色調に関するクレームが
来てしまいました。その印刷物は、何年も前から当社で半年ごとに増刷していた
物なのですが、たまたま、今回は他の印刷屋さんに出されて刷られたのだそうです。
他の印刷屋さんで刷った際、当社の物とは全く色調が合わず、その印刷屋さんが
言うには、黄色の網点が盛大に太ってしまっており、これは適正な印刷ではない。
とのこと。お客さんからは、そんな適正な印刷ではないような物に、今まで料金を
支払って来たかと思うと非常に腹立たしい。と、言われてしまい、今後の取引が
危ぶまれる状態に成りそうです。社内の印刷品質の良否を見極める方法とかは、
何か無いものでしょうか?
●回答
私も、印刷現場の指導で、北海道から九州まで、様々な印刷屋さんにお邪魔させて
頂きましたが、やはり中には「んッ!なにコレッ!」と言うような物を平気で
刷ってらっしゃるような所も有りました。
ある印刷会社さんで、自動車のアルミホイールのカタログを刷られてたんですよ。
まぁ、網点の再現もキレイだし、特にトラブルも見当たらない印刷だったんですが、
・・・なんか、もの足らない。アルミホイールが輝いていないんですよね。
元の写真データが悪いのかな?と思って見せて頂いたら、これは、光輝く、素晴らしい
ホイールの写真でした。ならば、印刷機械に問題アリか?と探っても見当たらない。
まさかと思って、CTPのトーンカーブを見せて頂いたら、これが、とんでもない
セッティングに成ってしまってて、このおかげで、アルミホイールが輝いてなかったん
ですわ。トーンカーブを、ごく普通な物に変えて、その版でもう一度刷ってもらったら、
これが、素晴らしく光輝くアルミホイールに成りましたね。
いつも、輝いていない印刷物ばかりを見ていると、何の疑問も持たず、ただ単に印刷を
消化して行くだけに成ってしまいます。部外者の方や、シカッリした眼を持った方に
見て頂くと、こうした「変な事」に気付いてもらえる場合も有るワケですわ。
今回の質問の、黄色の網点の盛大な太り。って言うのも本当なら、印刷している本人が
真っ先に気付かなくてはイカンのですが、ずーっと、黄色が太く成ってしまった物ばかり
見てしまっていると、それが普通だと感じてしまうように成るんですよ。
でも、今回の例のように、他所の印刷屋さんで正しい物を刷られてしまうと、こりゃ
本当にヤバイですよね。マジな話で、仕事を無くしてしまう事もあるわけで・・・
でもね、それよりヤバいのが、印刷機械の方だと思いますよ。
盛大なドットゲインが出てしまってるってことは、おそらく、胴仕立てが間違って
しまっているのではないかと思います。かなり過激なオーバーパッキングに成って
しまってる可能性が有ります。
過激なオーバーパッキングは、印刷機に大きな負担を与えてしまいます。これは、
早急に是正しないと、大変な事に成ります。
でもね、そんな盛大な網点の太りなら、ルーペで覗いてやれば一目瞭然ですよね。
たまには、自社の印刷物をルーペで覗いて、印刷物の健康診断をしてやらないと、
本当に重病に掛かってしまいますよ。
とりあえず、黄色のブランケットが、間違って、過激なオーバーパッキングに
成ってしまっていないか、すぐに調べて、早急に改善されることをお勧めします。