印刷Q&A UV印刷機 | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

●質問

印刷会社で工場長をやっています。印刷機の老朽化に伴い、新しい機械の
導入を検討をする事と成りました。菊半切判4色機の買い替えと成るのですが、
従来までの油性だけではなく、H-UV、LED-UV等の、高感度UVも
視野に入れて考えるよう言われたのですが、不勉強でよく分かりません。
高感度UVに関して教えて下さい。

●回答

あらら、私向きにオーダーされたような質問ですねぇ~ (^^)v

私は、本物のUVを使った経験が有りません。なので、そちらの知識に関しては、
完全に聞きかじりなのですが、高感度UVに関しては、すでに4台の機械と共に
仕事をして来ましたので、こっちに関しては万全です。

新しい機械の導入を考える時、今だと、やはり、高感度UVが視野に入りますね。
今更、通常の油性印刷機でイイのかってね。かと言って本物のUVは、排気ダクトの
工事が必要だったりと、チョット敷居が高いですよね。

油性機からの買い替えであるならば、おそらくは紙しか刷らないのでしょうから、
本物のUVを選択する必要性は低いと思います。・・・逆に言うなら、高感度UVって、
やっぱり本物のUVとは違うんですわ。例えば、クリアファイルを印刷したりとか、
フィルムのような素材に印刷したりとかを考えるなら、こりゃ本物のUVを選択する
べきで、そこまでの性能を高感度UVに求めるのは、チョット酷ですわ。

高感度UVは、油性の代わりに「紙を刷る機械」なのだと考えてやって下さい。
そのかわり、油性と違って「即乾」です。パウダーも全く不必要で、デリバリィでは、
どんな紙でも全て棒積み。裏移りの心配は完全に皆無です。デリバリィに出て来た時
には、すでに乾燥しているワケですから、待ち時間ゼロで断裁や折り、PP貼り等の
後加工が出来てしまいます。・・・ユポだって即乾ですから、スゴイですよ。
印刷物は、どんどん短納期化が進んでいますから、これからの戦力としては最高です。

最近は、マットコート系の紙や、ファンシー系の紙が多くて、油性だと乾燥後でも、
擦れ汚れとかで問題に成る場合が多いのですが、UVだと、こうした事にも強くて、
そう言った品質維持の面からも、お仕事を頂く機会が多く成っています。

と、ここまでは、良い面ですが、悪い面もイッパイ有るワケで・・・。
まずは、インキの値段が高い。ブランケットの消耗が激しい。ローラーの劣化が激しい。
洗い油等もUV専用の物が必要で、油性との互換性が無い。水幅が非常に狭く刷り辛い。
インキの色調が悪く、油性と比べて鮮やかさが無い。

インキの値段に関しては、UVインキって、油性と違って、膜が張らないんですよ。
紫外線に当てなければ良いので、フタをしておけば、膜張りで捨てるって事は無い
ですから、まぁ無駄は少ないですよね。ただし、インキの寿命は短いですよ。

あと、印刷品質に関してですが、こりゃやっぱり、油性に比べたら落ちます。
インキも鮮やかさが低いですし、網点の再現性も、完全に油性に負けてしまいます。
ですから、シビアな物を、前回は油性で刷ったけど、今回はUVで増刷、ってのは、
チョット厳しい場合も多々有るかと思います。

さて、ここまで読まれて、いかがですか?選択の参考に成りましたか?
ちなみに、当社(株式会社タツミ)では、2台のLED-UV機が稼働しています。
2台とも、A全4色機で、2台目は、昨年の8月に入ったばかりの新台です。
当社では、この2台が看板であり、とても重要な戦力です。

私自身、この先、油性機を選択する事は、たぶん無いだろうと思っています。
各メーカー、ショールーム等で、ご覧に成る事が出来ると思いますので、是非、
ご自分の目で見て、考えてみて下さい。