今日の問題です。宗主国である欧米が「植民地」に対してどのようなことを強いたのか。さらに独立後もサハラ以南の国々は資源の有無などによってバラバラの経済状況となりました。 2020B追24 #毎日チャレンジ地理

 

正解です。植民地は宗主国によって商品作物の栽培を強制されました。サは「モノカルチャー」。独立後も、発展途上同士の間で資源の有無によって経済格差が生じています。南南問題ですね。1が正解です。

 

[24]2020年地理B追試験[第4問問6]

 

先に選択肢からみてしまおう。まずは「モノカルチャー経済」と「輸出指向型の工業化」。なるほど、中南アフリカにふさわしそうな言葉は前者かな。

モノカルチャーを直訳すれば「単一栽培」。特定の一次産品の生産と輸出に国内経済が過度に依存する状態で、経済的には不安定。プランテーション農業に呼応する言葉として認識している人も多いんじゃないかな。プランテーション農業とは特定の商品作物の栽培に特化した農業形態。欧米の資本家が、それらが支配する熱帯や亜熱帯の植民地、保護国に大農園(プランテーション)を開く。独立や革命によってそれら大農園は欧米人の手離れ、国や現地資本の経営となるが、商品作物の生産は継続され、当該国の経済の中心に居座る。コートジボワールのカカオが代表的な例だろう。サには「モノカルチャー経済」が入る。このようにモノカルチャーの対象となるのは主に農産物だが、先に「一次産品」と述べたように広い意味では鉱産資源も含まれる(大地から直接採掘されるので、鉱産資源も「一次」産品なのだ)。OPECの多くの国は石油モノカルチャーである。

モノカルチャーの問題点として、経済の不安定化がある。不作や国際価格の暴落によって、その国の財政に深刻なダメージが与えられる。

 

さらにシについて検討しよう。「南南」問題か、「南北」問題か。「北」は先進国、「南」は発展途上国と考えると理解が容易じゃないかな。先進国の多くは北半球に位置し、逆に南半球の国の多くが発展途上国であることに由来する呼称である。例えば南北問題といえば発展途上国と先進国との経済格差に関する問題。たしかに問題文中に「経済的な格差」という言葉がある。おっと、だからといって焦って答えを決めつけてはいけない。南南問題とはたしかに発展途上国同士の問題なのだが、その中にも格差があることがさらに深刻な事態を招いているのだ。

ここで話題となっているのは「サハラ以南の国々」。先進国の定義は「1人当たりGNIが30000ドル/人以上」の国々。スペインの1人当たりGNIが約30000ドル/人なので、目安としてはスペインが境界線となる。韓国や台湾の1人当たりGNIは20000台であり、先進国にはやや足りない。

サハラ以南のアフリカで工業が発達しているのは南アフリカ共和国。しかし、それでも1人当たりGNIは6000ドル/人程度であり、世界平均(約10000ドル/人である)にも達しない。つまりこの地域に先進国は存在しないのだ。

サハラ以南のアフリカ諸国は全て発展途上国である、しかしその中にも格差があるのがわかるだろうか。文章中にも「経済成長の度合いは国際貿易の変化や国内外の紛争の影響などによって国ごとに異なり」とある。問3に登場したボツワナのようにダイヤモンド鉱の輸出によって国内経済が潤っている国もある(しかし、だからといって国民全てが豊かな生活を送っているわけではない。それはまた別の話)。一方でルワンダのように内戦を経験し、さらにプランテーション農業などの国内の経済基盤が崩壊することによって極めて厳しい状況に追いやられている国もある。南アフリカ共和国は製造業の発達だけでなく、レアメタルの産出もみられ、経済規模の大きな国となっているが、中には資源に恵まれず、特定の農産物の輸出に依存するようなモノカルチャー経済によってさらに貧困化が進む国もある。同じ発展途上国とはいえ、その格差は大きい。中南アフリカで生じている問題は「南南問題」であるはずだ。以上より正解は1。