西澤保彦「モラトリアムシアター 腕貫探偵」読了 | たてつのゲームプレイ&読書日記

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『モラトリアムシアター produced by 腕貫探偵』西澤保彦著 実業之日本社文庫

 腕貫探偵シリーズの待望の新作は、何といきなりの文庫発売です(^^)。

 発売してから多分そんなに経っていない頃に購入したのですが、嬉しいことに第2版でした(^O^)/。
 やっぱりハードカバーやノベルス版より、文庫本の方が手にとってくれる人は多いということと、表紙の絵柄が魅力的なことも大きいですよね(^^)。

 もちろん、これまで腕貫探偵シリーズ(ともう呼ばせていただきます!)が好評だったということが第一でしょうけど。

 と、話の内容より、ずっと前から好きな作家さんが売れている嬉しさに少々はしゃいでしまいした(^^;)。

 今回は、腕貫探偵となっておりますが、腕貫さんの出番はかなり少ないです。
 とはいえ、やはり重要な役どころではありまして、もちろん謎解きの場面では腕貫探偵がいつも通りに活躍(?)してくれることは変わりありません。

 そして、これまでの腕貫探偵と異なる大きな点は、短編ではなく、長編ということです。
 ですが、長編といえどもダレるようなこともなく、本作では冒頭で時系列的には後の話が先に語られており、先に分かっている展開がどう結びついてくるのかを考えながら読む楽しさもありました。

 本作は冒頭の語り部は早々に交代してしまい、初頭から終盤まではとある名門私立女子高に親のコネで英語講師として勤務することになった、気弱でうだつのあがらないおぼっちゃまな青年の一人称で語られます。

 彼が勤務する私立女子高の関係者が次々と殺されて、という事件が起こるのですが、彼が教えるクラスの女子生徒は青年に一緒に犯人を見つけようともちかけます。
 その女子生徒は、叔母さんが探偵をしており、それに憧れてということです。
 
 英語講師の青年の周りには、この女子高校生探偵の他に、強気で自分勝手だけどとっても美人なお母さんと、女性に囲まれてばかりです(^^)。さらに、青年には妹がいるのですが、その妹というのが、『腕貫探偵、残業中』に出てきた腕貫さんと良い雰囲気(?)になる色気より食い気なお嬢さんです(*^.^*)。

 本作も、これまでの西澤先生の作品同様、論理的な話の運びと、人間の本能を剥き出しで書いていながらドロドロしない絶妙な感じは健在です(^^)。
 そこが西澤先生の作品の良い所です(*゚ー゚*)。

 終盤はどんでん返しのような展開に、最後まで楽しませてもらいました。

 本の帯に『美少女+美熟女×公務員探偵 個性派探偵 夢の競演!』とありましたが、もしや、女子高生探偵と、その叔母さん(大富豪探偵)は他の西澤先生の作品にも出てきていた方だったのかしら?
 西澤先生好きと言いつつ、ハードカバーの作品は結構読み逃しているのもあるので(^^;)、その辺りに出てきた方たちなのかもしれません。
 今度探してみることとします。

 ちなみに、帯には『シリーズ累計10万部突破』の文字もありましたので、これは今後の続編も期待してよいのかもしれませんね。