第25回国民文化祭・おかやま2010
新見市は「たたら製鉄フェスティバル」が10月30日(土)~31日(日)に中世新見庄時代に行われていた「中世たたら製鉄操業」の再現を行います。
30日の夜8:30から朱鷺たたらの篠笛演奏も致しますので皆様お越し下さいませ。
たたらは一回の操業を一代(ひとよ)といい、1週間かけて行われる。
奥出雲で現在日本で唯一保存されている、日刀保たたら製鉄では、3代行われている。
3代目に出来た鉄が一番いいらしい。
たたらの炉は一代毎に、壊され、新しく作られる。
炉の原料の粘土と、砂鉄が、灼熱の火で、化学反応を起こし、砂鉄の中の不純物が粘土と一緒になって、はがれおちていくため、炉は一代で、削られ痩せて行くのだ。
毎回こうして新しく作られるのに、どうして3代目がよいのでしょう?と尋ねると、
地下が乾くからじゃ、と教えてくださった。
そうだった。
たたらの炉の下には、数メートルもの地下構造があるのだった。
2代でまるまる2週間、上で1500度もの熱で火が燃え盛り、地下もすっかり乾燥し、理想的な状態になるということだった。
新見のたたらは一回の操業のみで、それも一晩限りのもの。
市民が参加でき、ふいごを「押して~~引いて~~」の掛け声で、一晩中風を送る。
それでも、規模は奥出雲のたたらと同じで、これほどの規模を誇るものは他にないという。
さらに、日刀保の村下さんで、重要無形文化財保持者の木原明先生はじめ、たたら衆の方々が応援に駆けつけてきてくださるので、質も高いものになっている。
これだけのたたらが新見でできるのも、たくさんの人々の力に負うところだが、藤井さんの並々ならぬたたらへの情熱が、木原先生の心へ響き、たたら製鉄の伝授、応援を現実にしているのだと思う。
ものを学ぶとき、その道の先人たちへの尊敬と信頼が不可欠であることは常日頃から木原村下がおっしゃっている。
たたら製鉄は、一度途絶えてしまったものだ。
非常に過酷な作業を研究し、保存し、後世へ伝えていくことを継続なさっている。
その内実を想うと、どれほど大変なことへ取り組まれてきたことだろうと思う。
いまこうして蘇らせた熱情を持つ先生の言葉には、一言一言にこちらの心にずしんとくる重みがあり、私なんかは毎回先生の声を聴くだけで心が震えてしまう。
そんなたたらに命を賭けてきてきた木原先生の心に沿い、先生へのゆるぎない信頼と、全力で取り組むことを通して、先生の心に応えてこられた新見の藤井さんにも、わたしは尊敬の念を禁じえない。
ものを学ぶときの本質を、改めて教えてもらっている。
>>備中国新見庄「たたら」ホームページ
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