はい、どーも!井上です!

 

 

関西を中心に精神科医かつ産業医しています!

 

 

ラフな人生をめざしていきましょう(^^)

 

 

 

私は、産業医という役割で

 

企業の社員さんの悩み相談を

 

受ける機会がよくあります。

 

 

 

 

そこでは、もちろん

 

ご自身の健康面の相談なども多いですが

 

家族の健康面についての

 

悩み相談も少なくありません。

 

 

 

 

例えば

 

『妻が、最近足がつることが続くのですが

 

何科を受診したらいいのでしょうか?』

 

などの内容ですね。

 

 

 

 

ただ

 

最近は高齢化の問題もあり

 

親の認知症に関する相談も

 

よく耳にします。

 

 

 

 

そもそも

 

認知症という病名を知らない人は

 

ほとんどいないでしょう。

 

 

 

 

しかし、それでも

 

『まだまだ認知症に関して

 

あまり知られていないだなぁ』

 

と、実感することもよくあります。

 

 

 

 

とくに

 

認知症の症状の1つである

 

”徘徊”に関しては

 

そもそものニュアンスが

 

よく勘違いされています。

 

 

 

 

そこで今回は

 

認知症における”徘徊”について

 

お話したいと思います。

 

 

 

 

 

 

まず最初に

 

おことわりをさせてください。

 

 

 

 

認知症には

 

色々なタイプがありますが

 

今回は、その中でも6割以上を占める

 

アルツハイマー型認知症に関して

 

お話させていただきます。

 

 

 

 

そもそも

 

認知症の症状で

 

代表的なものは物忘れでしょう。

 

 

 

 

この物忘れの特徴とは

 

エピソード記憶を無くすことです。

 

 

 

 

つまり

 

『今日の昼ごはんを

 

何を食べたか思い出せない』

 

ではなく…

 

『今日の昼ごはんを

 

食べたかどうかを思い出せない』

 

 

 

 

このように

 

食べたというエピソード自体を

 

忘れてしまうことが特徴なのです。

 

 

 

 

さらに、この物忘れは

 

時間軸として近い記憶から

 

忘れ去っていきます。

 

 

 

 

つまり

 

『今日の昼ごはんを

 

食べたかどうかを思い出せない』

 

けれども…

 

戦時中のことや20代の頃の話などは

 

とてもよく覚えていたりします。

 

 

 

 

さらに、認知症には

 

実行機能障害という症状も存在します。

 

 

 

 

実行機能障害とは

 

今まで出来ていたことでも

 

物事を計画して

 

実際に行動に移すことが

 

むずかしいという症状なのです。

 

 

 

 

たとえば

 

晩御飯にカレーを

 

作ろうと思っていても

 

その手順が分からなくなったります。

 

 

 

さらに、朝起きてから

 

顔を洗って、朝食をたべて

 

歯を磨いて、服に着替えて

 

靴を履いて、玄関から外に出ていく

 

という一連の流れの順番が分からなくなって

 

動けなくなってしまうようなことです。

 

 

 

 

 

 

認知症の基礎知識は

 

このくらいにしておきましょう。

 

 

 

 

ここからは

 

よく相談の内容に多い

 

『最近、母が夜にパジャマのまま

 

勝手に家を飛び出すことが多くて

 

とても困っているんです…』

 

という ”徘徊” の症状について

 

お話させていただきます。

 

 

 

 

まず

 

この徘徊という言葉自体が

 

適切ではありませんね。

 

 

 

 

そもそも

 

徘徊とは『目的もなく』ブラブラと

 

そこらじゅうを歩く意味があります。

 

 

 

 

しかし

 

認知症の患者さんの徘徊には

 

しっかりと『目的があります。』

 

 

 

 

決して、無目的に

 

勝手に家を飛び出している

 

訳ではありません。

 

 

 

 

その目的とは


多くの場合が帰宅です。

 

 

 

 

なので

 

”徘徊”という言葉の本来の意味とは

 

全くもって異なってきます。

 

 

 

 

ただし、この記事の中では

 

分かりやすさを優先するために

 

引き続き”徘徊”という言葉を

 

使わせていただきます。

 

 

 

 

では

 

『帰宅の目的がある』

 

とは、どのような意味でしょうか。

 

 

 

 

先程、認知症における物忘れが

 

近い時間軸から起こることを

 

説明させてもらいましたね。

 

 

 

 

つまり

 

本人は、今の時間軸ではなく

 

かなり過去の時間軸で

 

生きていることが多いのです。

 

 

 

 

それが

 

どれくらい過去なのかは

 

個人差があるので分かりません。

 

 

 

 

ただ

 

今生きている時間軸が

 

80代の今の話ではなく

 

10代や20代の頃だってよくあります。

 

 

 

 

なので、本人の頭の中では

 

今は『東京の家』に住んでいるのではなく

 

生まれ育った『実家の北海道の家』だったり

 

『結婚で移住した名古屋の家』に住んで


生活していることになっています。

 

 

 

 

そうすると…

 

まさに今住んでいる『東京の家』では

 

『えッ?ここはどこ?早く家に帰りたい』

 

と思うようになるわけです。

 

 

 

 

だから、家を出ていこうとするのです。

 

 

 

 

しかし、外に出た時に

 

自分の頭の中にある時間軸とは

 

あまりにもかけ離れた風景に戸惑い

 

迷子になったり、動けなくなったりします。

 

 

 

 

これが帰宅という目的です。

 

 

 

 

ちなみに、先ほどのお話した

 

実行機能障害もあったりすると

 

外に出かける前に着替えたり

 

靴を履いたりする手順も分からないので

 

裸足でパジャマのまま

 

夜に”帰宅”しようとすることが起こるのです。

 

 

 

 

これが認知症における

 

”徘徊”の症状の背景なのです。

 

 

 

 

 

 

では、今日のおさらいです。

 

 

 

高齢化社会になり

 

これから認知症の患者さんが

 

増える予想が立てられています。

 

 

 

 

そこで、よく勘違いされている

 

”徘徊”の目的について

 

お話させていただきました。

 

 

 

 

もしかすると

 

あなたからすれば

 

不可解な言動や行動が起きると

 

理解できずに


モヤモヤすることもあるでしょう。

 

 

 

 

ただ、その症状が起こる

 

医学的な背景を理解することで

 

その不可解さからくるモヤモヤが

 

少しは解消されることもあるでしょう。

 

 

 

 

ただし、それは

 

認知症だけではなく

 

メンタルヘルス不調も含めて

 

どのような疾患でも当てはまります。

 

 

 

 

だからこそ、多くの人に

 

知ってもらう必要があるのです。

 

 

 

 

そこで、このブログでは

 

今後もよく耳にする疾患名であっても

 

よく勘違いされている症状の背景などを

 

伝えていけたらと思います ^^

 

 

 

では、今日はこのへんで!

 

 

See You Next Time Bye-Bye!!

 

 

【今日の参考記事】

 

 

 

 

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