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「人は、何のために生きるのだろう?」

「自分だけの幸せ」ではなく、「誰かの幸せを自分の喜びにする生き方」にあるのではないか。
我欲ではなく、愛情を中心に生きる。
そんな生き方を、歴史や社会、身近な出来事、そして人生の「なぜ?」を通して、皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。

 

第五章 ルシファーのたくらみ

ルシファーの考えは既にまとまっていた。

 

「神様から与えられた最高の位置は誰にも渡すことができない。

 

たとえ神の子アダムといえどもそんなことは許されない。どんなこ

 

とがあっても最高の位置だけは確保する。アダムに約束された位置

 

は、本来私の位置だ。決して最高の位置は渡さない。

 

神様は全知全能だが原則を無視したことは絶対できない。だから原

 

則通りにことを進めば、神様といえども私の主張を無視できるはず

 

がない。神様はアダムとエバに自体責任を与えた。ここにチャンス

 

がある。アダムとエバが私のものになれば、私は目的を達成でき

 

る。私のまた神様と同格の位置に立つことが可能になるのだ。神様

 

はその時、絶体絶命の窮地に追い込まれる。その時神様は後悔する

 

だろう。もっと私の言うことを聞いておけばよかったと。」

 

ルシファーは神様の計画の全貌を知っていた。だからこそ裏のシナ

 

リオを書くこともできた。

 

ルシファーは心の内で言った。

 

「神様はアダムとエバに第一の責任として使命完成を与えた。まず

 

アダムは神様と一体となって使命完成をしなければならない。次に

 

アダムが調和完成して親の位置に立とうとすれば絶対的にエバが必

 

要となる。まずそのエバを仕留めよう。そのためにはエバを知的に

 

混沌とさせる必要がある。

 

神様から如何に遠ざけるかが問題だ。神様の言葉を聞き流すように

 

仕向けよう。更にエバの所有権を獲得するのは、エバの意志におい

 

て私の妻にすることだ。どんなことがあっても、指をくわえてその

 

ままエバをアダムに渡すことなどできるものか。ひと度エバが私の

 

ものになれば、あとは私の思うままだ。エバを誘惑の材料に使っ

 

て、アダムを神様の下から引き離そう。そうすればアダムとエバは

 

完全に私のものとなる。私は神様の位置に立つことができる。その

 

後、アダムとエバからどんなに子供が生まれようと、全て私の所有

 

となる。私は私の王国を造ることができる。

 

神様は私のために創造者として働き続けるだけだ。その苦労は決し

 

て報われることはない。神様の栄光は地に落ちるだろう。私をただ

 

働かせて人間を造ろうとした神様の計画は永遠に破綻する。

 

私は永遠の神として私の王国に君臨するのだ。」

 

全知全能の神様は、ルシファーのこのような動きを知っておられ

 

た。しかしルシファーに対して何の手も打とうとはされなかった。

 

神様は心の中で言われた。

 

「このような事態は予想されていた。ルシファーの行動は困ったも

 

のだが運命の鍵は我が子が握っている。今や宇宙創造の最後のクラ

 

イマックスに差し掛かっている。もしルシファーの計画通りになれ

 

ば私は全てを失う。宇宙創造の苦労は一瞬にして水泡に帰す。だか

 

らアダムとエバよ、お前達の責任が如何に大きいかを悟ってほし

 

い。私はお前達を信じている。何をなすべきかも伝えた。後はお前

 

達の責任だ。必ず責任を果たしてくれると確信している。アダムと

 

エバが責任を果たせば、ルシファーの誘惑など笑い話に過ぎない。

 

問題はルシファーがどうするかではなく、アダムとエバがどうする

 

かにかかっている。ルシファーの誘惑を見事にはね退けて、見事に

 

私と一体となり使命完成を成就したなら、最高の喜びのクライマッ

 

クス、お前達の結婚式を挙行しよう。人類最初の結婚式であり、調

 

和完成の始まりだ。」

 

神様がアダムとエバの結婚式のことを考え始めた瞬間、深刻な顔色

 

がわずかながら喜びに変わっていた。

 

「アダムとエバの結婚式には全ての天使と、最高の香りを持つ全て

 

の花と、かわいい全ての小鳥を招待しよう。宇宙森羅万象の全てが

 

祝賀するであろう。祝辞はルシファーにしゃべらせよう・・・。」

 

そう考えながら思わず神様は一人で楽しそうに微笑まれた。ルシ

 

ファーに対する不安をかき消そうとしているようだった。

 

つづく