「宇宙に存在するいかなるものも、神様に反逆するなんて考えられ
ない。しかし人間にはそれができるのだ。それほど大きな権限が与
えられているのだ。人間が自己の権限で神様を選んでくれることを
神様は期待していたのだ。なんと凄まじい計画だろう。なんと恐る
べき計画だろう。」
ミカエルは事態の深刻さを見るにつけ神様がその愛に懸けた決意の
深さを思い知らされていた。「天使世界も宇宙も大した問題ではな
い。神様だって問題ではない。たった一つ人間だけが全ての運命の
鍵を握っているのだ。人間、そしてその責任、この2つの言葉に全
てがかかっているのだ。」
ミカエルのことなど気にもかけず悪魔は話を続けた。
「あなたは人間に最後の運命の鍵を授けました。結局、私もあなた
も人間次第で致命的な影響を受けます。その鍵を私は既に押さえま
した。今となってはあなたは決定的に不利です。人間のことなどあ
きらめなさいと申し上げたい。あなたがどんなに努力しても結局は
徒労に終わるのですから・・・。」
悪魔は誇らしげに去っていった。
神様は悪魔に何も言わず、ミカエルに言った。
「アダムに対して悪魔もまた所有権を持っている。従って善悪分立
の公式を当てはめなければならない。私はアダムの長男と次男に注
目する。アダムに対する悪魔の所有権と私の所有権をそれぞれ長男
と次男に代表させるのだ。長男は最初の男の子ゆえに相続優先権を
持っている。これが長子権だが、宇宙所有の優先権を持っている悪
魔は有利な長男を取るだろう。もし私が長男を取れば再び長男は二
人の主人を持つことになり、何の解決にもならない。優先権のない
私は、悪魔が所有権を主張しない次男とるしかない。つまり善悪分
立の公式に当てはめれば、常に長男は悪魔の所有となり、次男は私
の所有とならざるを得ない。つまり私は次男を立てて人間の責任を
完成させなければならないのだ。」
つづく
