「人は、何のために生きるのだろう?」 -84ページ目

「人は、何のために生きるのだろう?」

「自分だけの幸せ」ではなく、「誰かの幸せを自分の喜びにする生き方」にあるのではないか。
我欲ではなく、愛情を中心に生きる。
そんな生き方を、歴史や社会、身近な出来事、そして人生の「なぜ?」を通して、皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。

 

 

 

神様は続けられた。

 

「アダムは使命完成を果たして私と完全に一つとなるべきであっ

 

た。にもかかわらず悪魔に所有権を渡してしまった。今やアダムは

 

私と悪魔の二人の主人を持つことになった。彼の心は相反する二人

 

の主人に所有されることによって分裂状態に陥っている。私の所有

 

する部分は彼の本心を形成しており、正しい道に帰りたいと切望し

 

ている。しかし悪魔の所有する部分は邪心を形成し、ねたみと嫉妬

 

と不平と憎しみの火を燃えあがらせている。この、本心と邪心の闘

 

いは宇宙の中心が唯一の状態、つまり本来の中心である私に帰らな

 

い限り、決して解決されることはない。

 

心の分裂は行動の分裂を引き起こす。彼らは善においても悪におい

 

ても、その結果を確定することができない。何故なら、善と悪の間

 

を絶えず揺れ動いているからである。良いかと思えば悪くなり、悪

 

いかと思えば良くなったりする。このような状態で私の摂理を進め

 

ることはできない。

 

そこで私はアダムに善悪分立の公式を適用する。だからといってア

 

ダムの体を二つに裂くことはできない。裂けば彼は死んでしまう。

 

一本しかない幹は分けることができないが、枝なら分けることがで

 

きる。そこでアダムから生まれる枝としての子供を善悪に分立する

 

ことにする。その上で・・・。」

 

突然悪魔が姿を現し口を挟んだ。

 

神様に対して挑戦的に言った。

 

「あなたの子はあなたを捨てて私を選びました。あなたがアダムと

 

エバに与えた全ての権限は私が頂きました。アダムとエバはそのこ

 

とに完全に同意しました。そのおかげで私は今やあなたと並ぶこの

 

世の神となりました。これというのもあなたの無謀な計画のおかげ

 

です。人間に創造の権限を与えるなんて無茶です。あなたが愛を最

 

優先する限りどうすることもできないでしょう。自分より子供を愛

 

したいとか、自分より高い位置に立てたいとか、そんな甘い考えを

 

持つからこんなことになるのです。私のように自分本位に考えるべ

 

きです。成功したければ自己中心的に生きることです。そのおかげ

 

で、私は今やあなたの使い走りではありません。地獄宇宙の王様で

 

す。

 

私はあなたの冷たい仕打ちを受けてから、他のために生きるという

 

考え方を捨てました。結局、頼れるのは自分だけです。アダムとエ

 

バを騙すのも簡単でした。

 

私のちょっとしたウソでさえ見抜けませんでした。私の誘惑にの

 

り、エバはあなたの言葉を無視して私の妻となりました。アダム

 

だってそうです。エバがちょっと甘い顔をすれば、まんまと引っか

 

かるのですから・・・。あなたが甘いからあなたの子供も甘いので

 

す。子は親に似ますからね・・・。一つだけ残念なのは私には創造

 

ができないということです。しかしそれはあなたが担当します。そ

 

して、その全ては私のものになるのです。まあ、あなたも私の役に

 

立てるのですから頑張って下さい。

 

ところであなたの計画を聞いていましたが、あなたは善悪分立の公

 

式を通して、あなたに所有権のある人物を立てるつもりのようです

 

ね。どうぞやって下さい。あなたの武器は真理と絶対的な愛です

 

が、私の武器はウソと嫉妬と復讐心です。どちらが勝つか徹底的に

 

やりましょう。私は、私の武器を最大限に活用してあなたの計画を

 

断固粉砕します。人類をウソで固め、嫉妬心と復讐心で覆い、不

 

平、不満、憎しみ、闘争、殺人、戦争で埋めつくして見せます。

 

あなたの入る余地は全くなくなるでしょう。真理とか愛とかそんな

 

言葉は死語になるでしょう。」

 

ミカエルは何も言わず悪魔の言葉を聴いていた。

 

傲慢不遜なルシファーの姿に、ミカエルは込み上げてくる憤りを抑

 

えることができなかった。

 

同時に止め処なくあふれ出る涙をどうすることもできなかった。

 

あまりにも惨めな神様の姿を初めて見たのだ。

 

「あの栄光溢れる神様がこんなにも惨めになるなんて・・・。13

 

8億年の歳月をかけてこの広大な宇宙を創造した威厳に満ちた神様

 

は一体どこに行ってしまったのだろうか。僕のルシファーからここ

 

まで屈辱の言葉をうけて何の反論もできない神様なんて、想像すら

 

できなかった・・・。」

 

ミカエルは、「人間の責任が単に人間の問題だけにとどまるもので

 

はなかった」ということを改めて認識していた。

 

つづく