狩りから帰ってきたエサウはイサクのためにおいしい鹿の肉料理を
用意していた。
エサウは言った。
「父よ、あなたの願い通りおいしい鹿の肉料理を持ってきました。
食べて私を祝福して下さい。」
イサクは言った。
「何を言っているのか。たった今祝福を与えたばかりではないか。
お前は一体誰か。
エサウは言った。
「私は長男エサウです。」
イサクは激しく震えながら言った。
「ではあの肉料理を持ってきたのはヤコブだったのか。私は既にヤ
コブを祝福した。ゆえに祝福はヤコブのものとなる。」
エサウは大声を上げ、悔しさに歯ぎしりをしながらイサクに言っ
た。
「父よ、祝福は一つだけですか。私には残しておかれませんでした
か。私が肉を得るために鹿を追いかけてきたのは何の意味もないの
ですか。ヤコブから祝福を取り戻して私に下さい。」
イサクは言った。
「私は全てをヤコブに与えた。今となって私に何ができようか。」
エサウは大声を上げて泣いた。その心はヤコブに対する激しい憤り
と憎しみに溢れていた。エサウは心の内で言った。
「父イサクの死ぬ日は近い。その時にはヤコブを殺す。この恨みは
どんなことがあっても晴らして見せる。」
母リベカはエサウがヤコブを殺そうと密かに準備していることを知
り、ヤコブを呼んで言った。
「ヤコブよ、母の言うことを聞きなさい。今エサウは祝福の件であ
なたを殺そうとしています。しかし時が経てばエサウの怒りもきっ
と静まるでしょう。だからその時まであなたはこの土地を離れ私の
兄ラバンの所に身を寄せなさい。」
ヤコブは母リベカの言葉を受け入れカナンを後にした。
つづく
