「人は、何のために生きるのだろう?」 -64ページ目

「人は、何のために生きるのだろう?」

「自分だけの幸せ」ではなく、「誰かの幸せを自分の喜びにする生き方」にあるのではないか。
我欲ではなく、愛情を中心に生きる。
そんな生き方を、歴史や社会、身近な出来事、そして人生の「なぜ?」を通して、皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。

 

 

 

 

 

カナンへの途上において一行はヤボクの川を渡った。ヤコブが一

人、川の手前に残っていたところ天使が襲い掛かってきた。ヤコブ

は一晩中天使と格闘した。ヤコブは決してひるまなかった。

夜が明けそうになった時、天使は言った。

「どうか私を逃がして下さい。」

ヤコブは言った。

「ただでは逃さない。私を祝福しなさい。」

天使は言った。

「あなたの名前は何ですか。」

ヤコブは言った。

「私の名前はヤコブだ。」

天使はった。

「ではあなたはもはやヤコブと言わずイスラエルと言いなさい。あ

なたは初めて天使に勝ったのです。」

カナンが近づくにつれ、ヤコブには懐かしさと同時に、大きな心配

が頭をもたげて来た。

ヤコブは心の内で言った。

「兄エサウはどうしているだろうか。憤りを捨てて私を歓迎してく

れるだろうか。」

ヤコブは僕を呼んでエサウの様子を探らせた。

僕は帰還してヤコブに報告した。

「エサウの怒りは全く止んでいません。既にあなたのことを聞きつ

け、迎え撃とうと400人の手下をつれて待ち構えています。」

ヤコブはそれを聞いて大いに恐れ、神様に言った。

「万軍の主よ、私の神様よ。あなたはいつも私と共にいて私を守っ

て下さると約束されました。しかし今兄は私を殺そうと待ち構えて

います。あなたは再び故郷へ必ず導き上ると約束されたではありま

せんか。一体、私はどうしたらよいのですか。」

ヤコブは深い祈りの中で一つの作戦を考えた。

「兄エサウは目先の贈り物に心を奪われる性格を持っている。長男

の特権を私に譲ったのも、目の前の美味しい料理のゆえだった。そ

うだ、私の大事な財産を贈り物として与えよう。そうすればエサウ

は私を歓迎してくれるに違いない。」

ヤコブは財産の中から良いもの選び、隊列に分け、先頭に僕を立て

た。ヤコブは先頭の僕に何を言うべきかを指示した。

エサウは憎き弟を殺そうとやって来た。

そして隊列に出会った時、先頭の僕に言った。

「これは何だ。お前達は何者だ。」

僕は丁重に答えた。

「これはあなたの僕ヤコブからあなたへの贈り物です。私達はその

贈り物をお届けに参りました。」

各隊列は同じようにエサウに答えた。エサウの怒りは徐々に静まり

かけていた。

ヤコブは遠くエサウを見た。そしてエサウに礼儀を尽くして地面に

伏せた。立ち上がるや否やまた地面に伏せた・・・。

7度目にエサウを見上げて言った。

「あなたが私を喜んで迎えて下さるので、あなたの顔が神様の顔の

ように見えます。」

エサウはヤコブの真心に心を打たれ、過去の恨みも、憎しみも、全

て水に流した。

エサウはヤコブを抱きかかえながら、涙を流して言った。

「弟よ、よくぞ異邦の地で無事であった。」

二人は共に泣いた。エサウの心からはいつの間にか嫉妬心、復讐

心、憎しみが跡形もなく消えていた。

つづく