「人は、何のために生きるのだろう?」 -32ページ目

「人は、何のために生きるのだろう?」

「自分だけの幸せ」ではなく、「誰かの幸せを自分の喜びにする生き方」にあるのではないか。
我欲ではなく、愛情を中心に生きる。
そんな生き方を、歴史や社会、身近な出来事、そして人生の「なぜ?」を通して、皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。

 

 

悪魔は、話が本質に近づくと突然現れて口を挟む。
悪魔は言った。
『その通りです。もとはと言えばあなたが一番いけないのです。何度も言いますが私はあなたの最も忠実な僕だったではないですか。その私をさておいてどうしてアダムとエバを特別扱いしたのですか。いくら説明されても納得できません。私はあなたが人間に与えた権限を人間からもらいました。人間の権限は人間の権限ですからあなたも手出しはできません。アダムとエバだけではありません。その後ノアの子ハムも然りでした。アブラハムもそうです。今度の王達も結局は私に権限をくれました。ソロモンなどその代表です。あなたはアブラハムの時私に言いました。「時が満ちたから人間を返しなさい」と。しかし私はこう言いました。「あなたはアブラハムがあなたのものであると主張していますがどうしてそう断定できるのですか。かつてアダムとエバは完全にあなたのものでした。しかしそのアダムとエバでさえあなたの言葉と私の言葉のどちらを選ぶか選択を迫った時、彼らはあなたを捨て私を選んだではありませんか。今回アブラハムがあなたを選ぶとどうして断定できるのですか。」と。』
神様は答えられた。
「悪魔よ、お前の言う通りだ。お前と私がいくら論じても双方の主張が一致することはない。その選択の権限は人間が持っている。」
悪魔は答えた。
「その通りです。運命の鍵は当の人間がどちらを選ぶかが全てです。私もあなたが定めた法則のルールだけは守ります。」
ミカエルは心の内で言った。
「結局、神様が人間を取り返す道は人間に真理を悟らせ、宇宙のルールを正確に教え、悪魔の手口を教え、どうすれば悪魔と因縁を切って神様の下へ帰れるかを人間自体に悟らせる以外にないのだ。アブラハムにイサクを殺せとか、サウルにアマレク人を殺せとか、一見人間を追い込むように見えることもあったが、それとて悪魔に勝てる人間に育てたい一心だったのだ。それにしても何と忍耐のいる険しい道だろう。」
悪魔は続けた。
「あなたはアブラハムがあなたの期待に沿えるように必死でした。しかし私だって命がけです。アブラハムがあなたを選べば私の権限は失われ私の王国は破壊されます。ねたみと嫉妬と不平と不満で造り上げた地獄が消えてしまいます。結局アブラハムは失敗し、私はモーセまでの400年を手に入れたのです。その400年間は私の権限が全てです。いくらあなたが全知全能でも関係ありません。私の思うままです。しかし、時は流れます。私の権限が終わりを告げようとする度ごとにあなたは口を出します。「私の子供を返せ」と。しかし人間はあなたが嫌いなのです。好き勝手に生きる道を選びたいのです。私の性質を受け継いでいるのですから、すぐ嫉妬し、すぐ腹を立て、何かあればつぶやき、フリーセックスを好み、虐殺を好みます。あなたは空しい努力をもういい加減おやめになったらどうですか。」
ミカエルは耐えられなくなった。
相変わらずのルシファーの態度も、人間が目覚めない限りどうすることもできない神様の哀れな姿も、ミカエルには苦痛だった。

つづく