24年ぶりの伊勢国分 その2 |         きんぱこ(^^)v  

        きんぱこ(^^)v  

  きんぱこ教室、事件簿、小説、評論そして備忘録
      砂坂を這う蟻  たそがれきんのすけ

(2009/10/04の話です)

先日行った伊勢国府の話の続きなのですが、24年という歳月はさすがにタイムスリップを感じますね。(ちなみに伊勢国府は、志摩スペイン村の少し南にあります)


 あれ?   ホテルが無くなってる。

 あれ?   おばあちゃんの店(名前忘れた)が無くなってる。

 あれ?   スケボ場が出来ている。

 そして

 あれあれ……え”~~~ゴルフ場が無くなってる!


砂坂を這う蟻-1

(ゴルフ場が無くなりコース跡を海に向かう家族連れ)


 ナカさん「いつの話言うてんの……」

 みんなは私の驚きなどわれ関せず。

 私はそんなことお構いなしに大オドロキ!

 あのころは・・・あのころは・・・

♪あんのっころわー ほぇい♪

 頭の中に和田あき子も浮かんで来たりして。


砂坂を這う蟻-2

 雑草と混ざった芝生をキョロキョロしながらコース跡を超えた私は、堤防を上がって浜を見た時、馴染みのあった風景を見てホッとしました。


砂坂を這う蟻-5


 さて、ナカさんが私に貸してくれたボードはパドルサーフィンのボード。

 ん?

 サーフィンのロングボードよりも一回り大きくボリュームもあり、ウインドサーフィンのロングボードと同じか少し小ぶりくらいののボードです。浮力ジューブン。それにブラックカーボン製のパドル。


 初めて見た時は無波無風の水上に浮かんだボードに人が立ち、パドルでのんびりと漕いでいました。

 まるで海の上で箒をもって掃除をしている人みたい…。

 優雅・・とは思わなかった私の印象は、正直言うと

(こんなもん、何がおもろいんやろう…?)


砂坂を這う蟻-1

 そう思ってボードとパドルを持って波打ち際へ。

 私の頭の中ではこうだった。

(いくら歳取ったから言うて、若い時は結構ウインドサーフィンにふけってたわけやし、ボード見たらウインドサーフィンのロングボードやないの。波も小さいしボード滑らせて飛び乗って、小波使って遊ぶとするかー)

 そのイメージ通りにやろうと思ったら横からナカさんが言った。

「こんな波ある所で無理やって、沖までパドルして波の無い所で乗り」

「うん……」

 返事だけ素直な私はそのままライディングー。

ジフジフジフジフジフジフジフ

 私には小さな自負があった。

 ジフで一杯の頭でイメージすることをコンピューター業界ではジフアニメーション(GIF Animation)と呼んでいます。……嘘です。

 足を揃えてボードに直角に乗るのが基本。そしてその通り乗った時に小波が来た。

 小波の底ではボードが進み、小波の頭でブレーキがかかる。

「おっ」

 と思う間もなく前方撃沈。

(????おっかしいなぁ)

「だから言うたやろ、こんな所でいきなり乗られへんって」

「うーん」

 と答えながらまた無視。

(足を揃えるからやできっと。ボードに並行気味にレの字に乗ったらエエはずやで、きっと)

 そう思って再び挑戦。

 しかしいとも簡単に体のバランスを崩してあびせだおし。

 首を傾げながら何度か挑戦。

 とうとう疲れ果てた。

ガラガラガラガラ・・・・・(ジフというやつが崩れる音。私以外だれも気付かない音が頭に響く)

「だから、こんな所では無理やって」

「ナカさん乗ってみて」

 という事でナカさんの手本を見ることにしました。


砂坂を這う蟻-s

(画像借りました:リンク)


 彼はいとも簡単にボードに立ち上がり、のんびりした雰囲気でパドルを漕ぎながら波を超えて行く。

 浜辺に居たサーファーが「何やなんや」とナカさんを見始めた。

(しかし簡単そうに乗るなぁ…)

 沖に出たナカさんはゆっくりUターンをしてボードを波に合わせに行く。そしてパドルをうまく使いながら波に乗った。

(乗るだけならウインドサーフィンの方が簡単やな、それにしても情けないなぁ・・・)

 暫くして戻ってきたナカさんは「はい」と私にボードだけを渡してパドルは持って行ってしまった。

 今日はサーフィン大会で、ナカさんは実況中継と審査委員をしなければならない。

(ボードに慣れよということか。がんばろっと)

 本当は目が届かない所で、パドルやボードが傷だらけになるのが心配だったナカさんでした。そんなことも知ってか知らずか、それから昼までボードだけで波と遊んだ(ゴメン…遊ばれた)きんのすけ。


 昼休みになってナカさんがパドルを持ってやってきました。

「もう一回やらせて」

 私は頼みました。

「沖に行ってから乗りや」

 こんどは素直なきんのすけ。

「あかん、もっと沖。パドルをボードと胸の間に挟んで、パドリングして波の無い所まで行ってから乗ってみて」

 ナカさんに言われた通りアウトに出てから乗りました。

 気合一発。ウッシャー!

 気合の助けもあったのか、私は立てました。

(やったー!立ったぞーこれでパドルを漕いだら完璧や)

 そう思った私はパドルをゆっくりと漕ぎ始めました。

 後ろからナカさんの声

「腰曲がったばあさんになってるで~~」

 波待ちのサーファーがこらえきれずにくすくすと笑い出す始末。

(え”!ショック。完璧だと思っていた姿は、実はヨレヨレ婆さんだったのかあ)

ガラガラガラガラガラ(またもジフというやつが崩れる音・・まだ残っとったんかいな)

「ほらほらーもっと遠くを見て立つ」

「はい!」

 私は遠くの水平線を見て、背筋を伸ばした。

……ドボン!

(今日の空は雲ひとつないな…)

 24年の歳月で最も変わったのは国府の風景ではなく私の体だった。


おっしまいー(^^;)