(2009/10/04の話です)
先日行った伊勢国府の話の続きなのですが、24年という歳月はさすがにタイムスリップを感じますね。(ちなみに伊勢国府は、志摩スペイン村の少し南にあります)
あれ? ホテルが無くなってる。
あれ? おばあちゃんの店(名前忘れた)が無くなってる。
あれ? スケボ場が出来ている。
そして
あれあれ……え”~~~ゴルフ場が無くなってる!
(ゴルフ場が無くなりコース跡を海に向かう家族連れ)
ナカさん「いつの話言うてんの……」
みんなは私の驚きなどわれ関せず。
私はそんなことお構いなしに大オドロキ!
あのころは・・・あのころは・・・
♪あんのっころわー ほぇい♪
頭の中に和田あき子も浮かんで来たりして。
雑草と混ざった芝生をキョロキョロしながらコース跡を超えた私は、堤防を上がって浜を見た時、馴染みのあった風景を見てホッとしました。
さて、ナカさんが私に貸してくれたボードはパドルサーフィンのボード。
ん?
サーフィンのロングボードよりも一回り大きくボリュームもあり、ウインドサーフィンのロングボードと同じか少し小ぶりくらいののボードです。浮力ジューブン。それにブラックカーボン製のパドル。
初めて見た時は無波無風の水上に浮かんだボードに人が立ち、パドルでのんびりと漕いでいました。
まるで海の上で箒をもって掃除をしている人みたい…。
優雅・・とは思わなかった私の印象は、正直言うと
(こんなもん、何がおもろいんやろう…?)
そう思ってボードとパドルを持って波打ち際へ。
私の頭の中ではこうだった。
(いくら歳取ったから言うて、若い時は結構ウインドサーフィンにふけってたわけやし、ボード見たらウインドサーフィンのロングボードやないの。波も小さいしボード滑らせて飛び乗って、小波使って遊ぶとするかー)
そのイメージ通りにやろうと思ったら横からナカさんが言った。
「こんな波ある所で無理やって、沖までパドルして波の無い所で乗り」
「うん……」
返事だけ素直な私はそのままライディングー。
ジフジフジフジフジフジフジフ
私には小さな自負があった。
ジフで一杯の頭でイメージすることをコンピューター業界ではジフアニメーション(GIF Animation)と呼んでいます。……嘘です。
足を揃えてボードに直角に乗るのが基本。そしてその通り乗った時に小波が来た。
小波の底ではボードが進み、小波の頭でブレーキがかかる。
「おっ」
と思う間もなく前方撃沈。
(????おっかしいなぁ)
「だから言うたやろ、こんな所でいきなり乗られへんって」
「うーん」
と答えながらまた無視。
(足を揃えるからやできっと。ボードに並行気味にレの字に乗ったらエエはずやで、きっと)
そう思って再び挑戦。
しかしいとも簡単に体のバランスを崩してあびせだおし。
首を傾げながら何度か挑戦。
とうとう疲れ果てた。
ガラガラガラガラ・・・・・(ジフというやつが崩れる音。私以外だれも気付かない音が頭に響く)
「だから、こんな所では無理やって」
「ナカさん乗ってみて」
という事でナカさんの手本を見ることにしました。
(画像借りました:リンク)
彼はいとも簡単にボードに立ち上がり、のんびりした雰囲気でパドルを漕ぎながら波を超えて行く。
浜辺に居たサーファーが「何やなんや」とナカさんを見始めた。
(しかし簡単そうに乗るなぁ…)
沖に出たナカさんはゆっくりUターンをしてボードを波に合わせに行く。そしてパドルをうまく使いながら波に乗った。
(乗るだけならウインドサーフィンの方が簡単やな、それにしても情けないなぁ・・・)
暫くして戻ってきたナカさんは「はい」と私にボードだけを渡してパドルは持って行ってしまった。
今日はサーフィン大会で、ナカさんは実況中継と審査委員をしなければならない。
(ボードに慣れよということか。がんばろっと)
本当は目が届かない所で、パドルやボードが傷だらけになるのが心配だったナカさんでした。そんなことも知ってか知らずか、それから昼までボードだけで波と遊んだ(ゴメン…遊ばれた)きんのすけ。
昼休みになってナカさんがパドルを持ってやってきました。
「もう一回やらせて」
私は頼みました。
「沖に行ってから乗りや」
こんどは素直なきんのすけ。
「あかん、もっと沖。パドルをボードと胸の間に挟んで、パドリングして波の無い所まで行ってから乗ってみて」
ナカさんに言われた通りアウトに出てから乗りました。
気合一発。ウッシャー!
気合の助けもあったのか、私は立てました。
(やったー!立ったぞーこれでパドルを漕いだら完璧や)
そう思った私はパドルをゆっくりと漕ぎ始めました。
後ろからナカさんの声
「腰曲がったばあさんになってるで~~」
波待ちのサーファーがこらえきれずにくすくすと笑い出す始末。
(え”!ショック。完璧だと思っていた姿は、実はヨレヨレ婆さんだったのかあ)
ガラガラガラガラガラ(またもジフというやつが崩れる音・・まだ残っとったんかいな)
「ほらほらーもっと遠くを見て立つ」
「はい!」
私は遠くの水平線を見て、背筋を伸ばした。
……ドボン!
(今日の空は雲ひとつないな…)
24年の歳月で最も変わったのは国府の風景ではなく私の体だった。
おっしまいー(^^;)