陰陽師河辺名字「2008年は」15 |         きんぱこ(^^)v  

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      砂坂を這う蟻  たそがれきんのすけ

2008年は○○な年でした ブログネタ:2008年は○○な年でした 参加中

***登場人物***
安部清明 平安時代中期の陰陽師。ここでは陰陽師の力として現代と平安時代を自由に動ける術を持つ。母親は狐と噂されるが、実は現代の女性。
河辺名字 安部清明の友人。陰陽師。清明と同じく時空を移動出来る。両親は現代の人ではないかと言われているが定かではない。
泰三    現代のごく普通の少年。清明や名字が気に入って泰三の家に良く現れる
藤少納言 宮廷に使える女房の一人、清少納言に対して「とうしょうなごん」と呼ばれていた。怒ると顔の変化から分厚い化粧がピキッと割れる。しかし、その化粧の奥にある真の素顔を見た男はいない。
豆福    藤少納言に仕える子女房。かわいくて安部清明が密かに気に入っている。
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「臨(リン)兵(ビョウ)闘(トウ)者(シャ)皆(カイ)陣(ジン)裂(レツ)在(ザイ)前(ゼン)」

 魔除けを意味する九字真言。
 陰陽師 河辺名字(かべのみょうじ)。

 安部清明がやってきた。
「やっておるな」
「おう、清明か。この間はわしが勝った」
「現代人(げんだいびと)が問うて来た『2008年は○○な年でした』とな

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「2008年か、不思議なものだ、ワシらよりずっと先の年が過ぎようとしている」
「年から年へ飛ぶことは簡単だが、年が追いつくことは永遠にないしな」
「今年は何があったかな」
「今年とは、何時のことだ」
「今年は今年じゃないか」
「ワシらは一体何年にどれくらいいたかの」
「そう、それだ。1600年に二日程、1756年に1日、1428年に三日えー、数え切れん」
「2008年はどうだ」
「2008年は、良く来たな、泰三が居るおかげで気楽に来やすいからな」
「泰三のところへ行こう」

「おう泰三、暫くだな」
「あっ名字さんと清明さん、こんにちは」
「泰三、2008年ももう終わろうとしているな」
「そうですねえ、あっと言う間に一年が過ぎようとしていますね」
「2008年は、どんな年だった」
「そうですねえ、清明さんと名字さんに会えたことが一番驚いたし嬉しかったですね」
「嬉しかった、そうか、それは光栄だな」
「他にはどんなことがあった」
「陰陽師さんと関わりがあるけど、一瞬だけお金持ちになれましたね」
「あー、クリスマスツリーみたいな格好のことか」
「なに言ってるのですかあ」
「あー、新地のねえちゃんにももててたものなあ」
「一瞬でしたけどね、誰かが突然やってきて、宝くじ買わせて支払いは私でしたものね」
「良いではないか、元々帝の金なのだから」
「そうだ、自分で稼げ」
「陰陽師さんは現代に来ても長居が出来ないのですか」
「出来ない」
「なぜですか」
「なぜ、ウルトラマンを見てみろ」
「ウルトラマンは三分ですよね」
「そうだ、あのウルトラマンですら三分しか居れないのだぞ」
「ワシらのようにひ弱な体だと、時空に滞留し続けるのはなかなか難しいのだ」
「滞留するのですか」
「そうだ、時空や時間は川のように動いている」
「そうなんですか、それでもすごい」
「かぐや姫の話を知っているだろう」
「あー、知ってますけど、竹に子供が居たり、竹から金がザクザク出てきたり、かぐや姫が月に帰ったり、第一つきには人がすめませんからね」
「まだまだ未熟だの」
「そうだ、かぐや姫は本当に居るのだぞ」
「まっさかあ」
「本当だ、頭から否定するという誤解をすることが世の中にはなんと多いことか」
「そう思っているうちは時空を渡れぬ」

「ワシの2008年は静かな年だったなあ」
「ワシは家が焼けそうになった」
「僕は、楽しかった、何時までも続いて欲しいな」
「2008年や2009年と言わずに、毎日を味わいながら生きて行きたいの」
「時と友達になるのだ」
「陰陽思想というのは時を大切にする」
「そうだ、占いにしても占い始める時が大切なのだ」
「そうすれば陰陽師さんのように時空を渡れるようになるかな」
「ああ、いつかそんな時が来るかもしれないな」

次回 明日