小説「砂坂を這う蟻2」--11、 ニュートンサーカス- |         きんぱこ(^^)v  

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      砂坂を這う蟻  たそがれきんのすけ

-------- ニュートンサーカス------------



我々は、すぐ近くにあるニュートンサーカスに向かった。



ニュートンサーカスはオーチャート通りの中央にある。



ハイアットリージェンシーの向かいにあった。



現在は、改装されて屋台では無くなったが、当時はテントのような屋根をつけて、簡単な椅子とテーブルだけで作られた屋台だったが、かなり大規模なものであった。



テーブルにはメニューが置かれ、メニューは英語とカタカナで記載されていた。写真付だったのでわかりやすかった。



車えび、ワタリガニ・・・・・いろんな素材を、調理したり、塩焼きにしたり・・・・ひとつひとつのボリュームもあり、メニューを見ただけで、全部食べてみたくなるような内容だった。



熊が


「俺・・このカニみたいなやつ・・と・・これと・・これと・・・これと・・・」



「おいおい、食えるんかいな、焦らんでも無くならへんって」



「これなんや?車えびの塩焼きみたいなやつ・・・これ食いたいな。」



「いくらすんの」



「えっと・・・・10ドル・・・・750円くらい」



「これ・・・20cmほどありそうやで・・・たのもか」



手を振ったら、細くて派手な服を着た兄さんがひょこひょこやってきた。



日本人にもいそうな兄さんだった。

「はーい・・・いらっしゃい」



「あれ・・・日本語わかるの?」



「うーん、ちょっとね」



「これとこれとこれと・・・・・・」

「ちょっとまって・・・」



彼は、メモを取り出した。



「これとこれとこれと・・・・・」



「はいはい・・・・おっけー」



気さくなのか軽いのか、注文を聞いて飛ぶようにぴょんぴょんと去っていった。



こういう兄さんはカズと合いそうだ。



カズは後姿をみて、げらげら笑っていた。



「あのにいちゃん蛙みたいなよ」

「なんか、さっきの蒸し暑さがうそみたいにさっぱりしてきたな」



確にしらぬ間に蒸し暑さがどこかに飛んでいた。

「人もいっぱいやな」



しばらくすると、料理がやってきた。



ボリュームがものすごくあるわけではないがそこそこの量だった。



日本の2/3から半額という感じの物価だった。



テーブルからこぼれそうなくらいに料理が並んできた。



「ぐぉー」

ワタリガニ、やえび、ふかひれ・・海鮮料理主体だ。



辛くもなく、食欲がそそるほどにおいしかった。



「なんか、むちゃむちゃうまいな!」



「そうやな、なんぼでも頼んでしまいそうや」



しばらくすると、車えびの塩焼きがやってきた。



串にさして、胴の殻をはがして丸ごと塩をまぶして焼いてあった。



「おっきーなぁ・・・・」



「ふぉー」



・・・・・・・・・



「むちゃむちゃうまいで!・・・・」



私はこのえびの塩焼きが忘れられなくなった。



で、もう一本頼んだ。



「何ぼでも食いたいよ」



熊は幸せそうに、どんどん食っていた。



「たまらんでぇ・・・・」



「来てよかったなぁ・・・ちゅうかんじやで」



「この車えびだけ、たくさん持って帰りたいよ」



関さんが


「ここで食うから余計においしいんやで」



「それもそうやな」


飯くったら、どこ行く?



「タクシーも安いから、どこか軽く夜のドライブ行こうか」



シンガポールには高級クラブなどもあるらしいが金がない私たちは意識していなかった。



私たちはたらふく食って、タクシーを拾うことにした。



これから起こる、世にもおぞましい出来事など知らずに・・・。




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