格式ある旧家の素封家には、代々伝わる家訓とも云えるものがあります。
一族を束ねる惣領(そうりょう)の人定がある。
男子とて、その任に非ずと思われれば、女性を惣領とするものです。
柔軟性に欠ける「長男教」の土地柄では想像できないでしょう。
惣領の役目は、家門の存続にある。
一族の結束は、日本の伝統行事を通じて行われる。
冠婚葬祭・・結婚(結納金、式や旅行費用)、正月、お盆、村の祭礼、七五三、端午の節句、成人式、入学入園・卒業や入社祝い、教育資金、出産、金銭・労働の貸し借り(義理掛け帳)
そして、家門の墓守は惣領の重要な務めです。
日本の伝統文化を宗教・思想信条で忌避する者は、惣領に指名しない。
伝統行事を軽んじることで弱体化するからです。
金銭と物だけが相続(戦後民法)するものではないのです。
現在の財産相続制度(GHQの置き土産)は、家門の継承をすこぶる困難にしました。
一族の資産を散逸させないよう、曾祖母から惣領娘に生前贈与、売買契約、株式や保険名義、蔵の中の書画骨董品の管理、遺言状の作成などで凌いでいる。
若い惣領娘さんは、重圧に押しつぶされそうに感じるかもしれません。
しかし、弁護士、公認会計士、税理士、司法書士、行政書士の士業の手助けで乗り越えられるでしょう。口が堅い他家の惣領さんに相談してもらうのも良い。
一族を担うのは、気楽な身分ではないのです。
恋を諦めるかもしれません。
早く惣領を譲って、隠居になりたいのが人情ですね。
敬意を表します。
◆紀の川
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内容(「キネマ旬報社」データベースより)
有吉佐和子の原作を基に、明治・大正・昭和を紀ノ川と共に生きた美しく聡明な女性の生き様を描いた感動巨編。明治32年、22歳の春を迎えた紀本花は紀州の旧家・真谷家に嫁ぐ。やがて長女の文緒が生まれ、新時代に息吹く空気を存分に吸って成長するが…。