2023.03.22
ライター:星野 早百合
親が気づかないうちに子どもがカミソリでムダ毛を剃り、肌トラブルを起こしてしまった例も。子どもがムダ毛に悩んでいないか、よく観察することも必要です。 写真:アフロ
TBCグループの脱毛サロン「エピレ」では、2021年の脱毛の新規顧客のうち約3人にひとりはキッズと、近年、需要が高まっている子どもの脱毛「キッズ脱毛」。
前編では、小児皮膚科や脱毛にも精通する皮膚科医の尾見徳弥(おみ・とくや)先生と、キッズ脱毛を提供しているTBCグループの広報室主任・山下真里奈(やました・まりな)さんに、キッズ脱毛の最新事情について伺いました。
後編では、引き続き尾見先生とTBC・山下さんに、キッズ脱毛と子どものムダ毛に関する疑問について答えていただきます。
※全2回の後編(前編を読む)
尾見徳弥(おみ・とくや)PROFILE
日本皮膚科学会認定専門医、日本美容皮膚科学会理事・総務委員長、日本小児皮膚科学会運営委員、神奈川県・横浜市「クイーンズスクエアメディカルセンター」皮膚科部長。皮膚疾患全般を診療するほか、美容皮膚科を含む光線・レーザー治療の分野においても豊富な実績を持つ。日本医科大学客員教授、東京医科大学兼任教授も務める。
「脱毛は高額なプランも多いだけに、契約トラブルにあわないように注意しましょう。最近では、脱毛サロンが何の予告もなく倒産してしまったケースが多々あったので、サロン選びも慎重にしたいところです」と、尾見先生。 写真:本人提供
キッズ脱毛に関するQ&A
Q.1
完了までの期間・予算は、大人の脱毛と違う?
A.1
尾見徳弥先生(以下、尾見先生) レーザーを照射して毛根にダメージを与える医療脱毛の場合、部位によっても違いますが、毛周期(※1)に合わせて約1ヵ月半に一度のペースで受けるのが目安。
3回程度でムダ毛が少なくなり、5~7回でかなり目立たなくなると思います。大人の脱毛と同じです。
子どもが脱毛をできる部位はクリニックによって異なり、料金体系も都度払いやコースなどさまざまですが、全身脱毛の場合、1回で5~8万円かかることもあります。
TBCグループ広報室主任・山下真里奈さん(以下、TBC・山下さん) TBCの脱毛方法には、脱毛器で光を照射し、毛根にダメージを与える光脱毛があります。通う頻度は毛周期に合わせて、同一部位を1~2ヵ月間隔で受けていただきます。
4回程度で生えてくる毛がまばらになって、太い毛もあまり目立たなくなり、6回程度で目立つ毛が減って快適に。自己処理の回数も減ってきます。
ご希望によってさまざまなプランがありますが、例えば「セレクト10プラン(キッズ)」の場合、Lパーツ4部位、Sパーツ6部位の合計10部位をお選びいただき、6回で148,500円、12回で269,280円(各税込)です。キッズ脱毛は6回以上のご契約で10%オフ、12回以上のご契約で15%オフの特典があります。
脱毛部位はLパーツとSパーツに分かれていて、Lパーツは両ひじ上、両ひじ下、両ひざ下、首うしろなど全18部位、Sパーツは両ワキ、鼻下、両手の甲・指など全12部位からお選びいただけます。
Q.2
キッズ脱毛を控えたほうがいい子どもは?
A.2
TBC・山下さん 日焼けをして赤み・ひりつきのある肌は、光照射ができません。お子さまは、大人より日焼けをされるケースが多いので、脱毛コース前には注意深く確認しています。
脱毛コース後当日は、湯船には浸からず、ぬるめのシャワーで流す程度にして、手のひらで優しく洗っていただきます。また、激しい運動は控えていただいております。習い事などで運動する予定がある日は、ご注意いただきたいです。
尾見先生 細くて柔らかい毛は脱毛効果が十分に得られないので、うぶ毛が主体の幼児のうちは控えたほうがいいと思います。
また、アトピー性皮膚炎や重度の乾燥がある場合は、脱毛専門サロンでの脱毛は避けたほうがいいでしょう。万が一、肌トラブルを起こしたとき、サロンでは脱毛によるものか、アトピーや乾燥が悪化したものかの判断ができず、薬を処方するなどの医療行為も行えません。
肌が弱い子どもが脱毛を希望するなら、医療機関での施術が安心です。
Q.3
注意したい脱毛後の肌トラブルは?
A.3
尾見先生 今は脱毛器が進化して安全性も高まっているので、大きなトラブルは減りました。ただ、脱毛器の出力が強すぎてやけどを起こしたり、毛穴が炎症を起こしたりといったことはよく聞きます。
トラブルがゼロというわけではありませんが、厚生労働省に医療機器として認可されている脱毛器なら、比較的安全ではないでしょうか。そのクリニックやサロンがどんな脱毛器を使っているのか、契約前に調べるのもいいでしょう。
子どものムダ毛に関するQ&A
Q.4
ムダ毛が気になり始めるのは何歳ごろから?
A.4
尾見先生 思春期になると、男児も女児も男性ホルモンのひとつ「テストステロン」(※2)が急激に増加して、体毛が目立つようになります。
個人差はありますが、思春期は小学校高学年から中学生、高校生ぐらいまで。その後、20代までは体毛が目立つ時期が続いて、30代以降、年齢を重ねるにつれて徐々に毛量は減っていく傾向にあります。
Q.5
ムダ毛の濃い・薄いは遺伝する?
A.5
尾見先生 はっきりとは言い切れませんが、遺伝はあると思います。ただ、両親のムダ毛が濃いからといって、必ず子どもが濃くなるわけではなく、祖父母の特徴が隔世遺伝として表れる場合もあります。
Q.6
ムダ毛の自己処理でおすすめの方法は?
A.6
尾見先生 ワックスでの処理は痛みが強く、皮膚を傷めがちで、毛抜きで抜くと、毛穴に刺激を与えて「毛囊炎(もうのうえん)」という炎症を起こしやすくなります。電気シェーバーもいろいろな種類があり、毛を挟み込んで抜くタイプだと、毛抜きと同じく毛囊炎を起こすことがあるでしょう。
脱色クリームで毛の色を薄くし、目立たなくさせる方法は有効ですが、学校の校則で禁止されていることが多く、肌が弱い子どもは肌荒れを起こすこともあります。
もっともおすすめなのは、カミソリによる剃毛です。ただ、カミソリを何度も使いまわすなど、間違った使い方をすると肌を傷つけてしまいます。
刃はこまめに取り替える、肌を少し温めて寝ている毛を立たせる、しっかり泡立てたせっけんを肌につけてから力を抜いて剃る、剃毛後は保湿をする……など、正しい使い方を親御さんがお子さんに教えてあげることが大切だと思います。
Q.7
家庭用の脱毛器は効果ある?
A.7
尾見先生 脱毛器をはじめ、美容機器は経済産業省の管轄になり、法律上の分類では雑貨の扱いになります。厚生労働省管轄の医療機器とは異なります。
抑毛(よくもう)・減毛(げんもう)効果はあるかもしれませんが、使用には注意していただきたいです。
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「思春期に毛が濃くなるのは当たり前。脱毛をするのは、思春期を越えてからでも遅くないのでは」という立場の尾見先生ですが、一方で「お子さんが悩んでいて、毛がなくなることで楽になるのなら、脱毛をしてもいいと思います」と、一定の理解を示します。
「本当に悩んでいるか、それを見極めるのは、子どもを観察することに尽きます。お子さんがムダ毛を気にしているようなら、まずは親御さんが正しい自己処理の仕方を教え、それでもやはり悩んでいたら、脱毛を検討するので十分では。
脱毛はお金もかかりますし、以前よりかなり軽減されたとはいえ、痛みもまったくないわけではありません。コストやリスクの問題も踏まえて、親子で話し合うのが適切ではないでしょうか」(尾見先生)
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「つらい思いをさせたくない」という親心ゆえ、センシティブになりがちな子どものムダ毛問題ですが、体の成長や変化について親子で気軽に話し合える関係性が築けると、子どもの気持ちもラクになるのではと感じました。
キッズ脱毛という新たな選択肢がある今、メリット・デメリットのバランスを慎重に考えて、わが子にとってベストな選択ができたらいいと思います。
【脚注】
※1「毛周期」=毛が生え変わるサイクルのこと
※2「テストステロン」=筋肉や骨格の発達、集中力や記憶力の向上に影響を与えるホルモンで、女性にも存在する。思春期以降に体毛が濃くなるのは、テストステロンが増加するため
取材・文/星野早百合
取材協力/TBCグループ