ここ最近、毎日のように新聞報道で「皇族数の確保」についての改正案が取り上げられている。
皇族、とりわけ男性皇族の激減のなかで、皇位継承を軸に皇族の減少に歯止めをかけ皇位継承のさらなる継続をめざして皇族確保策が政府・国会で検討されようとしている。要点の一つは女性皇族が結婚後も皇族で有り続けることができることであり、第二は旧宮家の直系男子を養子とする案とのこと。女性天皇や女系天皇については、ここでは議論にすら上げられていない。
新聞やテレビなどで皇族確保策が報道されるのを見聞きするたびに、私は違和感を感じて正直胸くそが悪くなる。
私は皇室・皇族が日本国にとって不可欠な存在であると考える者ではないが、しかし、政府や国会の皇室・皇族、皇位継承についての態度は、皇室・皇族に対する人権無視であり、無礼極まりない許されない態度であると考える。
皇室・皇族の方々は憲法で「日本国の象徴」とされた天皇とその一族であるが、彼らは我々と同じ基本的人権を有する人間であるはずである。それを、コウノトリやパンダなどの希少動物のように、まるで絶滅危惧種を如何に保護し数を増やしていこうかという繁殖策を検討している感がする。天皇や皇族の意向を無視して一握りの国会議員が女性皇族がどうだの、旧宮家の直系男子を養子とすることを認めるなどと勝手に決めることが許されるのか。
まずは、最高法規の憲法に従うべきであろう。
その第1条には「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく」とある。この規定は「皇室典範」よりも法的に上位にあるはずである。天皇は「日本国民の統合の象徴」であって、その「地位は主権の存する国民の総意に基づく」ものであるはずであるのに、国民の総意を無視して一握りの国会議員ごときが天皇の地位を勝手に決めてよいものか。まずは、皇室典範を日本国憲法に基づいて改定し、次いで国民の総意を問うべきであろう。一握りの国会議員の意見をもって国民の「総意」とすべきではない。
宮家の廃止にしても(善い悪いはともかくとして)、多くの宮家を廃止しておいて、皇族に男系の血筋が絶えかけたからといって、今更「養子」に迎えてよいなどと、あまりに身勝手でご都合主義的にすぎないか。現在のような状況になるのは昔から予測できたことなのだから、なぜ今日まで棚上げしておいて今更に付け焼き刃な事をするのか。これでは、天皇家・皇室・皇族を人間扱いしていないと言えるのではないか。皇位継承など皇族に関することをに国会議員だけで決定を下すのは天皇家・皇族の人権を侵害していると言えるのではないか。
皇位継承を「男系男子」に限るといった異様さも認めるべきではない。女性天皇であっても現天皇の実子であり、天皇の地位を継承しても全く不自然ではない。「男系」・「男」にこだわるところに人権無視・差別があると言えよう。
わが国は法治国家であり、最高法規は「日本国憲法」である以上、第1条の規定に従うとともに「基本的人権の尊重」の観点からも「国民主権」の観点からも、唯一の道は、一握りの国会議員が決議するのではなく、「国民の総意」を問うための国民投票を行って決定すべきと考える。
天皇・皇族といっても日本国民の奴隷ではなく、人権を有する人間である。その人生を他者がいじり回して勝手に決めてよいものではない。天皇は「日本国民の象徴」であることを義務づけられているが、基本的人権さえ奪われている哀れな存在ではないはずである。皇族としても、このような人権を無視される立場・地位に留まりたいと考えるはずもなく、女性皇族は結婚すれば喜んで皇族を離れるであろうし、旧宮家の男子もだれが好んで養子になるであろうか。男系男子が皇位を継ぐとしても、その皇后の地位を自ら希望する女性が果たして現れるであろうか? 今こそ、天皇および皇族について、憲法第1条や皇室典範を含め根本的に見直さないと後の祭りとなる。小さな改変や解釈に逃げるべきではない。もはや誤魔化しは効かない。