フルートの出番です312 「バッキャーナス・ブラジレイラス」No.6 | 翡翠の千夜千曲

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Bachianas Brasileiras No. 6 • Villa-Lobos • Members of RTVE Symphony

Heitor Villa-Lobos (1887 - 1959) 

Bachianas Brasileiras No. 6 for flute and bassoon (1938) 

1. Ária (Choro) 0:00​ 

2. Fantasia 4:30​ 

Members of RTVE Symphony Orchestra 

Mónica Raga, flute 

Vicente Alario, bassoon 

🇪🇸 Monumental Theatre of Madrid, 2014

 

 

 

 

 私の知り合いの息子が台湾で起業して数年になりますが、今回の地震ではそうとうな揺れを感じたものの大事には至らずに済んだと言うことを知り一安心しました。とは言え、被害に合われた現地の人々には衷心よりお見舞い申し上げます。亡くなった人もおられると言うことですし、被害の実態が分かるにつれて被害の数が拡大するのはこれまでの日本で起きた地震の例を見ても明らかです。できるだけ、少なくて済むように祈っております。台湾に人々には、日本での度々の被害に際して心を寄せて戴き、また義援金や災害ボランティアなど様々な形での支援をいただいていますので、私も何らかの形でお返しをしたいと思っています。

 私たちは、自国の文化と言うものを普段あまり意識していません。例えば、台湾では朝食は外で食べるのが普通です。最も中心的なものは、「おかゆ」でしょうが、鹹豆漿(シエンドウジャン)」、「蛋餅(ダンピン)」、「厚餅夾蛋」(卵焼き入りのパン)、「蔥花鹹餅」(ネギ入りの丸いパン)、おにぎり「飯糰(ファントォアン)」などと言うのがよく食べられているようです。最初の頃に掲載しましたが、台湾や中国で良く歌われているの歌に「茉莉花(モーリファ)」という歌があります。

 朝から外食をすると言う文化は日本にはあまりないと思いがちですが、新宿の様な飲み屋街では明け方に仕事を終えて帰る人のために開いているお店もあります。築地などの市場で付近には業者のために朝早くから営業している店はありますが、一般の人は普段はあまり縁がないかもしれません。

 音楽も、明治当初は一方通行気味に西洋音楽が取り入れられましたが、次第に日本の音楽文化が見直された日本的な作品も生まれるようになりました。今日聴く、ヴィラ=ロボスも小さい頃からバッハに親しみ、パリへ留学して学びますが、自分が育った土地の音楽の豊かさや親近感などを再認識するようになります。

 「ブラジル風バッハ」という題ですが、原題は“Bachianas Brasileiras”となります。その名の通り、ブラジルの民俗音楽素材が基になっていて、それに対する変奏や対位法的処理がされた作品です。全9曲からなる作品ですが、成立年代も1930年から1945年までと様々で、楽器編成が異なっているため、通して演奏されることは余りありません。ヴィラ=ロボスを代表する作品として、いずれも著名な作品となっています。 

 「ブラジル風バッハ」という日本語訳は、「ブラジルの民俗音楽とバッハの作曲様式の融合」というヴィラ=ロボスの意図をうまく捉えてはいるが、原題の「バッハ風・ブラジル風の音楽」という本来の意味を必ずしも反映してはいないため、現在では訳さずに「バシアーナス(あるいはバキアーナスまたはバッキャーナス)・ブラジレイラス」とも呼ばれる。

 さて、こうして作曲された「ブラジル風バッハ」第6番は、1938年の作品で、フルートとファゴットのための作品になっています。アリア(ショーロ) Aria: Choroと幻想曲 Fantasiaの2曲で構成されています。「…ブラジルの古いセレナードを暗示させるため」と書いているように、ショーロというブラジル風な動機にファゴットが通奏低音的に沿っていく音楽になっています。

 

※ 以前の記事

○ フルートの出番です110  ヴィラ=ロボスブラジル風バッハ「第5番」

○ 南米の作曲家たち ④ エイトル・ヴィラ=ロボス

○ 花の歌① 茉莉花

 

※ 演奏会のご案内⑬ ダンシングフルートVol2

 

※ 演奏会のお知らせ⑭ 翡翠トリオピアノ三重奏の夕べ

 

ヴィラ=ロボス、エイトール/ブラジル風バッハ 第6番

Villa-Lobos, Heitor BACHIANAS BRASILEIRAS NO.6

<解説>

 ヴィラ=ロボスはブラジル民族主義を代表するスペイン系の作曲家で、交響曲、協奏曲、室内楽等、凡そ2000曲以上の作品を書き残しました。また彼は声楽、管弦楽、器楽の多種多様な組合わせによる独特な形式をもった曲として、1920年から1928年までに15曲の《ショーロス》を連作し、1930年から1945年にかけて一連のバッハ賛歌である9曲の《ブラジル風バッハ》を作曲しました。『ブラジル風バッハ 第6番(1983)』は2楽章で構成され、I.アリア(Choro)はバッハのフルート・ソナタのAdagio楽章を思わせる美しい近代風メロディと、通奏低音を暗示させるファゴットの対位法的なベース・ラインが見事な綾を聴かせます。II.ファンタジアは近代フランスの作品に見られるような機械的な動機と自由な歌が絡み合った技巧的な幻想曲です。作曲家は「私がこの楽器の組合せを選んだのは、ブラジルの古いセレナードを暗示させるためである。…そして、私はセレナードが歌われる時のように即興の印象を与えたいと思った。」と述べています。(解説/佐野悦郎)

 

ヴィラ=ロボス: ショーロス全集、ブラジル風バッハ全集、ギター独奏曲全集

ジョン・ネシリング 、 ロベルト・ミンチュク 、 サンパウロ交響楽団 、 ベルリン・フィル木管五重奏団 、 アンデルス・ミオリン

『ヴィラ=ロボス:ショーロス&ブラジル風バッハ全集』
【曲目】
1. ブラジル風バッハ(第1~9番、9は弦楽オーケストラ版、無伴奏合唱版の2種収録)
2. ショーロス(第1~第12番、ショーロス序章、2つのショーロス)
3. ショーロス形式による木管五重奏曲
4. ギター独奏曲全集(5つの前奏曲、ブラジル民謡組曲、12の練習曲)
【演奏】
ロベルト・ミンチュク(1)、ジョン・ネシリング(2)(指揮)
サンパウロ響、同Cho
ファビオ・ザノン(guit)
クリスティナ・オルティズ(Pf)
ジャン=ルイ・ストイアーマン(Pf)
ドンナ・ブラウン(Sop)
ベルリン・フィル木管五重奏団(3)、
アンデシュ・ミオリン(guit)(4)