ミンクス バレエ音楽「ドン・キホーテ」 | 翡翠の千夜千曲

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Don Quixote (Full Ballet) Evgenia Obratzsova, Kimin Kim

Performance of 2013 

Evgenia Obratzsova as Kitri 

Kimin Kim as Basilio

 

 

 

 

 私の父親が学んだ英語の教師は、旧帝大卒だと名乗っていたそうですが、「Don Quixote=ドンキホーテ」を「ドンクイ・ソート(ゥ)」と発音したなあと言っていました。子どもの頃にドンキホーテを読んでいたら、酒を飲みながら何気なく言っていたのを聞いたのですが、妙に記憶に残っています。おそらくは「そんな筈があるか」と思っていたから記憶に残っていたのかもしれません。

 今思えば、スペルを見るとそんな感じにも見えなくはありません。ジョン万次郎ではありませんが、「ホッタイモイジルナ」は What time is it now? と覚えたように、あくまでも推測の域を出ませんが、ひょっとすると本物の発音に近いのかもしれません。

 私は、自分の住んでいる市のバレエ団の数年前の発表会に使われていたポスターに、この「ドン・キホーテ」の一場面らしい手書きのイラストを覚えているのですが、絵のタッチからして安野光雅氏のように見えたのです。けれども、この曲を取り上げるに当たって調べてみましたが、安野さんの絵にそう言うものは見つけられませんでした。

 この作品は、ミンクスのものが知られていますが、私はバレエ音楽も余り得意ではありません。 資料をお借りして紹介していきましょう。

 レオン・(フョードロヴィチ・)ミンクス(Léon Fedorovich Minkus, 1826年3月23日  - 1917年12月7日 ウィーン)はオーストリア帝国出身で、ロシア帝国で活躍した作曲家で劇場指揮者、そしてヴァイオリニストでした。19世紀のバレエ作曲家では最も人気のある一人でしょう。

 本名はルートヴィヒ・アロイジウス・ミンクス(Ludwig Aloisius Minkus)といい、ポーランド人とチェコ人の血統だと言われています。振付師マリウス・プティパの協力を得て、20年近くにわたって現在のマリインスキー・バレエである「ペテルブルクのロシア帝室バレエ」のために舞踊音楽を作曲しました。

 お話は皆さんもよくご存知でしょうが、一応書いておきたいと思います。

 バレエ『ドン・キホーテ』の物語は、原作小説の後篇に登場する、キテリアとバシリオの恋物語を翻案したものである。原作小説の該当部分のあらすじは以下の通りである。
 ドン・キホーテとサンチョ・パンサは、旅の途中で豪華な婚礼の宴に参列する。結婚するのは、金持ちの農民カマーチョと、美しい百姓娘キテリアである。キテリアにはバシリオという恋人がいたが、貧しいバシリオとの結婚を父親に反対され、カマーチョと結婚することになっていた。結婚式の最中、突然バシリオが現れ、キテリアの不実をなじって自らを剣で刺す。瀕死のバシリオは、今からでもキテリアと結婚させてほしいと請う。カマーチョはバシリオがすぐ死ぬのであればとその願いを認め、キテリアも同意する。司祭が2人を祝福した途端、バシリオは跳ね起きて身体から剣を抜く。自殺が偽装だったことに気が付いたカマーチョやその一族は憤るが、ドン・キホーテがそれを諫める。こうしてめでたく結ばれたバシリオとキテリアは、ドン・キホーテに感謝し、丁重にもてなしたのだった。

 皆さんがご存知の、風車に向かって突撃したりする勘違いの激しい壮大なほら吹き男のドタバタ劇とはやや違う展開かもしれませんが、演出の方法によっては更に違ったものになる可能性もあります。

 

 本作は、ゴルスキー以降も様々な振付家によって改訂が重ねられている。1962年にはロンドンで、ランベール・ダンス・カンパニーによる西側初の全幕上演が行われた。さらに、ルドルフ・ヌレエフやミハイル・バリシニコフといったソビエト連邦からの亡命ダンサーが西側諸国で自身の演出を発表したことで、本作は世界的に名を知られるようになった。代表的な演出として、以下のものが挙げられる。

  フョードル・ロプホーフ版(1923年、キーロフ・バレエ初演)

  • ロスチスラフ・ザハロフ版(1940年、ボリショイ・バレエ初演)
  • ウィトルド・ボルコフスキー版(1962年、ランベール・ダンス・カンパニー初演)
  • ルドルフ・ヌレエフ版(1966年、ウィーン国立バレエ団初演)
  • ミハイル・バリシニコフ版(1978年、アメリカン・バレエ・シアター初演)
  • ケヴィン・マッケンジー/スーザン・ジョーンズ版(1995年、アメリカン・バレエ・シアター初演)
  • アレクセイ・ファジェーチェフ版(1999年、ボリショイ・バレエ初演)
  • カルロス・アコスタ版(2013年、英国ロイヤル・バレエ初演)

 

※ 演奏会のご案内⑬ ダンシングフルートVol2

 

※ 演奏会のお知らせ⑭ 翡翠トリオピアノ三重奏の夕べ

 

 

ミンクス: バレエ「ドン・キホーテ」(プロローグと3幕のバレエ)

オランダ国立バレエ