ホルンの出番です377 メラルティン/フランスマン「小四重奏曲」 | 翡翠の千夜千曲

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Small Quartet for Horns, Op. 185: I. Allegretto

Small Quartet for Horns, Op. 185: I. Allegretto · 4th Line Horn Quartet · Tanja Nisonen · Pauliina Koskela · Mervi Huttunen · Maria Luhtanen 

Four Impulses 

℗ 2022 Alba 

Released on: 2022-09-09 

Ensemble: 4th Line Horn Quartet 

Artist: Tanja Nisonen 

Artist: Pauliina Koskela 

Artist: Mervi Huttunen 

Artist: Maria Luhtanen 

Composer: Erkki Melartin

 

Small Quartet for Horns, Op. 185: II. Andante

 

Small Quartet for Horns, Op. 185: III. Allegro

 

 

 

 

 さよなら三月、またきて四月。春は別れと出会いの季節。かすむ景色の向こうに不安と期待がうろうろ居場所を探している。
 今年の桜は、突然早くにやってきた。しかしながら、雪国では早々の雪解けで、スキー場にとってはありがたくないことでもあった。先日も馬鹿陽気。この天気に誘われて花屋に行くと、大作りの花瓶に桜の一枝がさしてある。名を尋ねると「吉野桜」だと言う。「ははあこれが」と感心していると、「素敵ですね」と女主人。

 …随分前に書いたエッセイ「桜百景」の書き出しです。気象庁や予報士が最初に予想していた開花予想日はとうに過ぎてしまいました。寒の戻りと言う奴ですが、考えれば私たちの世代は入学式を桜で迎えていたのですから、今の方が完全におかしいのです。

 さて、そんな少し寒空の朝は、メラルティンと言う人を紹介しましょう。エルッキ・グスタフ・メラルティン(Erkki Gustaf Melartin, 1875年2月7日 - 1937年2月14日)は、フィンランドの作曲家です。後期ロマン派とも言うべき人ですが、晩年には調性を崩した不協和音が支配的な作品もあります。

 メラルティンは、フィンランド大公国とロシア帝国本領との国境付近に位置し、シベリウスの作品にも描かれた「カレリア」地方のカキサルミ(現ロシア連邦)に生まれています。生没年はモーリス・ラヴェルと同じですが、作品傾向や作風は全く違って抒情的な作風です。同じフィンランドのジャン・シベリウスよりも10歳年下になります。
 1899年から1901年にかけてウィーンに留学し、ウィーン音楽院でロベルト・フックスに学んでいます。帰国後、1908年から1911年まで、ヴィープリのオーケストラの指揮者を務め、。1911年からは、ヘルシンキ音楽院(現シベリウス・アカデミー)で教鞭を執り、1936年まで校長の職を務めました。慢性的な病気のため、室内での活動が多かったようです。
 人気や知名度ではシベリウスに及びませんが、オスカル・メリカントやレーヴィ・マデトヤ、セリム・パルムグレンなどと並んで20世紀初頭のフィンランド音楽の黄金時代を築いた代表的な人物です。

 「4つのホルンのための小四重奏曲」は1936年の作品で、1990年にホルゲル・フランスマンが編曲した作品です。3つの短い楽章で構成されていて、第1楽章「アレグレット」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「アレグロ」短い楽章ですが、このホルン・アンサンブルの見事な演奏が光ります。

 

※ 演奏会のご案内⑬ ダンシングフルートVol2

 

※ 演奏会のお知らせ⑭ 翡翠トリオピアノ三重奏の夕べ

 

 

 

4つの衝動

フォース・ライン・ホルン四重奏団

【曲目】
ヨハン・クヴァンダール(1919-1999):ホルン四重奏曲 Op.73(1988)
アッツォ・アルミラ(1953-):4つのホルンのための小シリーズ(1987)
ダニエル・ヴァイセト・シェレスヴィーク(1985-):4つの衝動
マシュー・ホイットール(1975-):アンセム I(I 1975)
テリエ・ビョルン・レシュタード(1955-)/フォース・ライン 編:レチタティーヴォとファンファーレ Op.130
エルッキ・メラルティン(1875-1937)/ホルゲル・フランスマン(1909-1997)編:4つのホルンのための小四重奏曲 Op.185(1936 ed. 1990)

【演奏】
フォース・ライン・ホルン四重奏団
タニヤ・ニソネン(ホルン)
パウリーナ・コスケラ(ホルン)
マリア・ルフタネン(ホルン)
メルヴィ・フットゥネン(ホルン)

【録音】
2020年
ヴァリストテレス・スタジオ(Varistoteles Studios)
(ヘルシンキ、フィンランド)

制作・録音エンジニアリング・編集:マルック・ヴェイヨンスオ