ラロ「チェロ協奏曲」ニ短調 | 翡翠の千夜千曲

翡翠の千夜千曲

音楽を学びたい若者で困難や悩みを抱えている人、情報を求めている人のための資料集

Édouard Lalo Cello Concerto in D minor – Fermín Villanueva, Gabriel Bebeșelea – OCR

 

00:23 I. Prélude: Lento - Allegro maestoso 

13:31 II. Intermezzo: Andantino con moto - Allegro presto 

20:23 III. Andante - Allegro vivace 

 

Encore29:25 Jordi Cervelló: Homenatge 

Fermín VILLANUEVA, violoncello; Gabriel BEBEȘELEA, conductor; ROMANIAN RADIO NATIONAL ORCHESTRA. EuroRadio Youth Concert held at the “Mihail Jora” Concert Hall Sala Radio on March 25, 2016 in Bucharest, Romania. Live recording. 

© 2016 Orchestrele si Corurile Radio and Fermín Villanueva.

 高校時代に変な奴と出会った。愛読書はニーチェ、時折教室の片隅で仮想のオーケストラを相手に指揮に没頭していた。そして、やわら「君は、カラヤンをどう思うね」などと聞いてくる。答えに窮していると、「カラヤンは早すぎるんだよ」と言う。「じゃ、誰がいいんだ」と聞くと「そりゃ、フルトヴェングラーだよ。君は聴いたことがないのか」

 勿論名前くらいは知っていましたが、SP時代の伝説の男と帝王と言われた当時のカリスマを比較できるほど私は聴き比べ等してはいませんでしたし、中学校では柔道部兼臨時吹奏楽部員、高校ではひょんなことから合唱部に入ったばかりの私にそんな知識は皆無でした。ラロのスペイン交響曲を知ったのも彼からの情報です。しばらくして、彼が亡くなったらしいと言う風の便りを聞いた。何か、青春時代が終わったかななどと一瞬思った。

 前回、2022年10月15日の記事、生真面目と根気の音楽 ラロ「スペイン交響曲」 にはラロの生い立ちは殆ど書いていなかったので今回は少し触れておきましょう。

 ヴィクトール・アントワーヌ・エドゥアール・ラロ(Victor Antoine Édouard Lalo, 1823年1月27日 - 1892年4月22日)は、フランスの作曲家で、ヴァイオリンおよびヴィオラ奏者です。フランスのリール生まれですが、祖父はバスク人と言いますからスペイン系でした。後に、「ヴァイオリン協奏曲1番」や「ノルウェー幻想曲」などを献呈したサラサーテもバスク系の人でした。ヴァイオリン協奏曲の第2番にあたるスペイン交響曲や、チェロ協奏曲によって一躍有名になりました。。オペラ「イスの王様」は、全曲が上演されることはありませんが、その序曲はフランス・オペラの序曲集やラロの特集といった版などにも収められています。

 ラロの「チェロ協奏曲 ニ短調」は、サン=サーンスの「チェロ協奏曲 第1番 イ短調」に触発されて作曲されたと言います。チェロ奏者のアドルフ・フィッシャーに献呈されています。1877年12月9日、フィッシャーのチェロ、ジュール・パドルー指揮のコンセール・ポピュレールにより、初演されています。

 

<楽曲の構成>

1、前奏曲:レント - アレグロ・マエストーソ
2、間奏曲:アンダンティーノ・コン・モト - アレグロ・プレスト - アンダンティーノ - テンポ・プリモ
3、アンダンテ - アレグロ・ヴィヴァーチェ
 第1楽章の主部に先立つ緩やかな序奏は、痛烈な筆法と雰囲気による「開始サイン」である。続く主部は、きわめて精力的かつ情熱的である。だが第2楽章は、むしろ夢見心地の夢想曲だが、途中からより速めのテンポ設定に切り替わる。《スペイン交響曲》に聴かれるようなスペイン情緒も、本楽章に顕著である。第3楽章はチェロのモノローグに始まり、目くるめくフィナーレによって結ばれる。

 上の記事にあるように作曲を再開し花開くのは結婚した43歳以降です。そう言えば、今年昔担任した教え子から「子どもが受験生です、先生に教わった時分けの花を読んであげました」と書いた年賀状を貰いました。忘れていましたが、卒業文集か何かに書いたのでしょう。おおよそ、こんな文章です。

 春に咲く花があれば、夏に咲く花があり、秋や冬に咲く花もある。早く咲く花が美しいとは限らない。それぞれの花は咲くべき時に咲く。これを時分けの花と言うのだ。あせらず一歩ずつ歩みなさい・・・といったものです。ラロも、晩年になって花開いた人です。

 貴方も、何か始めた日が貴方の輝いた日になるはずです。

 

追伸 1756年の今日には、 ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが誕生し、1806年の今日には、 ホアン・クリソストモ・アリアーガが生まれています。彼もまたバスク人で、神童と呼ばれパリ音楽院に学びますが、20歳で亡くなっています。

 

※ 演奏会のご案内⑫

 

 

Lalo, Edouard / ラロ CONCERTO

チェロ協奏曲(チェロ、ピアノ)弦楽器/チェロ/ソロ(伴奏つき)

Durand (デュラン)

 

ラロ: チェロ協奏曲、スペイン交響曲

ピエール・フルニエ 、 ジャン・マルティノン 、 ラムルー管弦楽団 、 ポール・パレー 、 デトロイト交響楽団 、 レオニード・コーガン 、 キリル・コンドラシン 、 フィルハーモニア管弦楽団

【曲目】
ラロ:チェロ協奏曲/スペイン交響曲
・チェロ協奏曲 ニ短調
ピエール・フルニエ(チェロ)、ジャン・マルティノン(指揮)、ラムルー管弦楽団
※録音:1960年
・《ナムーナ》組曲第1番
ポール・パレ―(指揮)、デトロイト交響楽団
※録音:1958年
・スペイン交響曲
レオニード・コーガン(ヴァイオリン)、キリル・コンドラシン(指揮)、フィルハーモニア管弦楽団
※録音:1959年