ブルッフ「ヴァイオリン協奏曲1番」 | 翡翠の千夜千曲

翡翠の千夜千曲

音楽を学びたい若者で困難や悩みを抱えている人、情報を求めている人のための資料集

Bruch: 1. Violinkonzert ∙ hr-Sinfonieorchester ∙ Hilary Hahn ∙ Andrés Orozco-Estrada

 

(Auftritt) 00:00 ∙ 

I. Vorspiel. Allegro moderato 00:36 ∙ 

II. Adagio 09:15 ∙ 

III. Finale. Allegro energico 17:32 ∙ 

hr-Sinfonieorchester – Frankfurt Radio Symphony ∙ 

Hilary Hahn, Violine ∙ 

Andrés Orozco-Estrada, Dirigent ∙ 

Alte Oper Frankfurt, 9. Dezember 2016 ∙

 

 

 

 

 新年早々ですが謝らなければならないことがありそうです。12月29日の記事「ブロッホ」の記事に五嶋みどりさんの演奏のことを書いたのですが、ブロッホではなく今日の記事ブルッフだったような気がしています。それで思い出したのですが、当時私は人生最悪の時期を迎えていたのです。私の精神状態が普通ではないほどで、恐らくは演奏の良し悪しではなく何を聴いても同じ結果だったのかもしれません。改めて久々聴いたブルッフは悪くありません。では改めて、ブルッフについて確認しておきましょう。   

 マックス・クリスティアン・フリードリヒ・ブルッフ(Max Christian Friedrich Bruch, 1838年1月6日 - 1920年10月2日)は、ケルンに生まれベルリンで没したドイツの作曲家で指揮者、そして教育者でした。今日聴く、ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調作品26が、ロマン派の協奏曲として特に有名でよく演奏されます。ヴァイオリンの曲としては、管弦楽のための「スコットランド幻想曲」、他にはチェロと管弦楽のための「コル・ニドライ」「クラリネットとヴィオラのための二重協奏曲」などがプログラムを飾っています。

 この作品は、ブルッフならではの自由な発想と、旋律の美しさと幻想的な色彩が豊かに調和した作品です。ブルッフが「ヴァイオリン協奏曲 第1番」を作曲したのは、1864年から66年にかけてのことですが、この頃はドイツのコブレンツの管弦楽団の音楽監督を務めていました。この作品は当地で1866年4月24日にブルッフの指揮とオットー・フォン・ケーニヒスロウのヴァイオリンで初演されています。この初演は好評をもって迎えられました。

 しかし、ブルッフ自身は出来映えに満足していなかったようです。初演後間もなくヨーゼフ・ヨアヒム(1831ー1907年)に楽譜を送って、助言してほしいと言葉を添えています。ヨアヒムは当時もっとも活躍していたヴァイオリニストの1人です。クララ・シューマンはヨアヒムの暖かな響きをこよなく愛し褒め讃えているほどです。

 初演から約4ヶ月後には返信が届きます。手紙には、ブルッフの協奏曲を「全体として非常にヴァイオリン的」と評価していましたが、独奏パートやその他のさまざまな点についても事細かに助言がしてありました。ヨアヒムの助言は標題にも影響していると資料で知りました。ブルッフは、構成的にあまりこだわらず書いたので、「協奏曲」というよりは「幻想曲」という感じがしていたのです。
 けれども、ヨアヒムは「幻想曲」と言うには2楽章があまりに規則的であること、そして、ルイ・シュポーアの「ヴァイオリン協奏曲 第8番 イ短調」でも「協奏曲」として成立していることを指し、「協奏曲」でいいではないかとブルッフを説得しています。名曲の陰には、こうした様々な裏話が存在するのです。

 最後に、五嶋さんにお詫びを兼ねてCDを紹介させてください。では、本日も御機嫌よう。

 

 

 

ブルッフ: バイオリン協奏曲 第1番 ト短調 Op.26/オイレンブルグ社/小型スコア 楽譜 – 2012/2/1

 

ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番&第2番、スコットランド幻想曲(期間生産限定盤)

ヤッシャ・ハイフェッツ (アーティスト)  形式: CD

 

メンデルスゾーン:ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲

五嶋みどり (アーティスト, 演奏), & 4 その他  形式: CD

1 ヴァイオリン協奏曲ホ短調 作品64 第1楽章 アレグロ・モルト・アパッショナート
2 ヴァイオリン協奏曲ホ短調 作品64 第2楽章 アンダンテ
3 ヴァイオリン協奏曲ホ短調 作品64 第3楽章 アレグレット・ノン・トロッポ - アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ
4 ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調 作品26 第1楽章 前奏曲 : アレグロ・モデラート
5 ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調 作品26 第2楽章 アダージョ
6 ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調 作品26 第3楽章 フィナーレ : アレグロ・エネルジーコ