シューベルト「楽興の時」 | 翡翠の千夜千曲

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音楽を学びたい若者で困難や悩みを抱えている人、情報を求めている人のための資料集

Alfred Brendel - Schubert - Six moments musicaux, D 780

Six moments musicaux, D 780, Op 94 

1 Moderato in C major 

2 Andantino in A-flat major 

3 Allegro moderato in F minor 

4 Moderato in C-sharp minor 

5 Allegro vivace in F minor 

6 Allegretto in A-flat major Alfred Brendel, piano

 

 

 

 

 今日は文化の日ですが、以前は明治節と呼ばれていた日で、紆余曲折あり定められた記念日の一つです。さて、文化とは何でしょうか。文献によれば以下のようです。

 文化(ラテン語: cultura)には、いくつかの定義が存在するが、総じていうと人間が社会の構成員として獲得する多数の振る舞いの全体のことである。社会組織(年齢別グループ、地域社会、血縁組織などを含む)ごとに固有の文化があるとされ、組織の成員になるということは、その文化を身につける(身体化)ということでもある。人は同時に複数の組織に所属することが可能であり、異なる組織に共通する文化が存在することもある。もっとも文化は、次の意味で使われることも多い。

 私にすれば、音楽と言うグループに所属するのでしょうか。そしてその文化を身体化すると言うことは音楽的訓練をも意味するのでしょうが。しかし、その他の文化にも所属していることは言うまでもなく、人間がたった一つの文化しか持たないのではないからこそ生きていいられる存在でもあるわけです。

 私が、この音楽と言う文化に触れたのは、家にあった蓄音機とラジオの音楽番組によるものです。78回転の蓄音機には、カザルスの弾くトロイメライやシューマンの曲の他数枚の浪曲などがありましたが、最も大切にしていたのは日曜日の朝のラジオ番組「音楽の泉」でした。私が聞き始めたのは、二代目の村田武雄さんの時代からです。そのテーマ曲がシューベルtの「楽興の時」の3番目ヘ短調でした。

 どちらと言えば、黎明期の音楽から始まってバロックや古典に強かった皆川辰夫氏と違い、古典派から近代までの音楽を多く解説してくれたことで、私の中学時代は欧米の音楽で充実したものになりました。言わば、SPレコードは後にソノシートになり、ドーナツ版からLPへと変わったもののラジオはその次に欠かせないものでした。我が家のテレビは東京オリンピックまではありませんでしたから、ラジオは重要な音楽源と言えました。

 さて、肝心要の「楽興」とは何でしょうか?そのまま訳すと「音楽の瞬間」ということになり、頭で考えて理論的に形式に則って作った曲ではなく、その時浮かんだもの、感性の流れに任せて作られた曲という意味合いを持つのでしょう。即興曲(Impromptu)といういい方では、即座に浮かんだものを示すのですが、フランス語でMoments musicaux「楽興」としたのはどういう意味合いがあったのでしょう。 音楽に興ずる時間の楽しさ、と考えるとちょっといいかもしれません。

 現在用いられている表題はフランス語表記だが、初版のタイトルは"Six Momens musicals"だった。どちらもシューベルト自身の発案かどうかは不明。

第1番 ハ長調 モデラート、4分の3拍子、三部形式。
 変化に富む曲調であり、装飾音が多い。両手3連符によるト長調の穏やかな中間部が、主部との素晴らしい好対照を成す。
第2番 変イ長調 アンダンティーノ、8分の6拍子、ロンド形式。
 シチリアーノのリズムを基本としている。変イ長調の穏やかな主部に、嬰ヘ短調のエピソードが2度挿入されるが、2度目は突発的な激情の爆発に始まり、非常に印象深い。シューベルトは穏やかな曲にこうした激情的な部分を挿入する事が多い。
第3番 ヘ短調 アレグロ・モデラート、4分の2拍子、三部形式。
 6曲中最も知られている。シューベルトの存命中から愛好され「エール・リュス」(ロシア風歌曲)として有名であった。三部形式で左手の単調な伴奏を背景に右手が和音で歌う。NHKラジオ放送「音楽の泉」の主題曲としてもおなじみ。映画「カルメン故郷に帰る」でも用いられた。レオポルド・ゴドフスキーがこの曲をより複雑にした編曲を残している。また、常磐線いわき駅の発車メロディに採用されている。
第4番 嬰ハ短調 モデラート、4分の2拍子、三部形式。
 右手の無窮動風の旋律を左手の単調な伴奏が支える構図である。中間部は変ニ長調の伸びやかな部分。エンハーモニックな転調が多い。
第5番 ヘ短調 アレグロ・ヴィヴァーチェ、4分の2拍子、三部形式。
 行進曲風の主題。途中は激しく転調しながら進行する。
第6番 変イ長調 アレグレット、4分の3拍子、三部形式。
 落ち着いた間奏曲。エンハーモニックな転調が多い。中間部は変ニ長調のユニゾン。速度指定はアレグレットであり、通常は5~6分の演奏時間であるが、内田光子やリヒテルはたいへん遅いテンポで10分以上かけて演奏している。

 

※ 演奏会のご案内

○ ベートーヴェン ピアノとヴァイオリンの為のソナタ全曲演奏会

 

※ お知らせ

○ 遠藤紗和さんのCD発売

ネットでも各社予約受付中です(ネット発売日は11月1日です)

 

○ 松枝晶子展【Special thanks】

 

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