スヴェンセン「ノルウェー狂詩曲」1番 | 翡翠の千夜千曲

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Johan Svendsen (1840-1911) : Norsk rapsodi nr 1 (op.17) / Norwegian Rhapsody no 1

 

 

 

 

 今では故人になってしまいましたが、岩城宏之氏がベルリンフィルの定期演奏会を指揮した後、何人かの首席奏者達と飲んでいたいた時の話です。コンサートマスターのミッシェル・シュヴァルベが言います。「このオーケストラには三つの大きな欠点がある。それを克服しない限り、ベルリン・フィルは先へ行けない。何だかわかるかい?」彼は、天才と呼ばれた人でした。

 岩城さんは、「そう言えばファゴットの2番がちょっと弱いし、打楽器の一人が・・」そう言いかけたら大きな声で遮った。

 「そんな小さなことじゃない。第一にこのオーケストラはリズムが悪い。第二に、音程が悪い。第三にお互いが聴きあわない。これを解決しなければわれわれの先はない!」

 机を叩いて絶叫したと言います。つまり、「基本を忠実に守る」ことに尽きるのである。それだけのことだ。世界一とはこういうことなのか。感動した。…こう書いています。読んでいた私も感動したものです。

  今日も、お誕生日の人を持って参りました。ヨハン・セヴェリン・スヴェンセン(Johan Severin Svendsen, 1840年9月30日 - 1911年6月14日)は、ノルウェーの作曲家で指揮者、そしてヴァイオリニストでした。スウェーデン統治下ノルウェーのクリスチャニア(現オスロ)に生まれ、生涯のほとんどをデンマークのコペンハーゲンに過ごし、70歳で同地にて亡くなりました。

 彼はグリーグの親友であり、ノルウェーの音楽発展に努めた人でした。彼の作風はロマン派の域を出るものではなく、どれもがチャイコフスキー風の優しい肌ざわりを持っています。

 「アイルランド狂詩曲」、「スウェーデン狂詩曲」と言った作品がありますが、「ノルウェー狂詩曲」も当然あるのです。この「ノルウェー狂詩曲」はタイトル通り、リストの「ハンガリア狂詩曲」に触発されたもので、要所要所に民謡的なメロディが使われた情感豊かな作品です。ハン・ハルヴォルセン(1864-1935)にも同名の曲がありますが、ハルヴォルセンの作品にはフィドルの奏でる民謡調の音楽が聞こえてきますが、スヴェンセンの音楽の方が色彩豊かで絵画的です。

 もし貴方がこの作品を指揮するときは、ベルリンフィルのそんな話を想い出してみてください。勿論すべての曲がそうなのですが・・・。

 

 

※ 以前の記事

○ スヴェンセン 「ヴァイオリンとオーケストラのためのロマンス」

 

※ 演奏会のご案内

○ ベートーヴェン ピアノとヴァイオリンの為のソナタ全曲演奏会

 

※ お知らせ

○ 遠藤紗和さんのCD発売

 このお知らせは9月いっぱいで終わります。お陰様を持ちまして、第二版をただ今準備中のようです。

 

 

Norwegian Rhapsody No. 1 Op. 17
By Johan Svendsen

 

スヴェンセン:管弦楽作品集 1 (ベルゲン・フィル/N. ヤルヴィ)

SVENDSEN, J.: Orchestral Works, Vol. 1 (Bergen Philharmonic, N. Jarvi)