オトテール「フルートと他の楽器及びバスのための音楽」 | 翡翠の千夜千曲

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Hotteterre - Premiere Livre de pieces pour la flûte traversiere, et autres instruments avec la basse

Jacques-Martin Hotteterre 

Premiere Livre de pieces pour la flûte traversiere, et autres instruments avec la basse (1708.) 

Troisiéme Suite 

Allemande. La cascade de St. Cloud 

Sarabande. La Guimon 

Courante. L`indiferente. Legerement – Double 

Rondeau. Le plaintif. Tendrement 

Menuet. Le mignon. Un peu doucement 

Gigue. l`Italienne 

 

Hotteterre 

Premiere Livre de pieces pour la flûte traversiere, et autres instruments avec la basse 

 

Croatian Baroque Ensemble 

 

Ana Benić, flute and artistic leadership 

Nika Zlatarić, viola da gamba 

Izidor Erazem Grafenauer, theorbo and guitar 

Pavao Mašić, harpsichord

 

 

 

 明治の頃、かつて日本を訪れて音楽の指導に当たったヨーロッパのある音楽家は、「日本人は音楽的な素養に乏しい」と言った体の言葉を残しています。無拍節(むはくせつ)の音楽が多かったからでしょう。同じヨーロッパでも、ヤナーチェックなどを要したチェコなどの東欧の音楽を辺境(へんきょう)の音楽と呼んでいました。 しかし、ここでは、歌詞には散文の会話調のものが使われているのですが、ヤナーチェクは「発話旋律」という技法を用いることで、自然な言葉の抑揚(よくよう)や人物の心理を心理を的確に表現することだけではなく、そこから派生(はせい)した動機によって曲全体を構成するなど、独自の音楽世界を作り出すことに成功していたのです。

 さて、世界の国々を見渡して地図を拝見すると致しましょう。私の経験ですが、オーストラリアに行ったとき地図を見て唖然としたことがあります。日本で見る地図とは全く逆で、中央にオーストラリアがあり、日本ははるか上に小さく描いてありました。世界を旅した人ならばこんなことは頻繁(ひんぱん)に経験することで、どこの国も自分の国を真ん中に置いています。これは当然至極(しごく)のことで、貴方も自分の家を中心に左右を判断し、距離を感じています。

 つまり、極東と言う言葉に代表される感覚は、ヨーロッパ中心の感覚でできています。アジアから見れば、欧米は世界のはずれにある国です。つまり、ヨーロッパの音楽は我々からすれば辺境の音楽に過ぎません。アンデスの山々や広いパンパの上に流れるケーナの音楽も、ヨーロッパから聞こえるヴァイオリンの音も私たちにとって貧富の差など存在しません。

 ただ、これを書いている私は、偶然ヨーロッパの音楽を専攻して勉強しただけで、ひょっとすると2~3軒隣に住んでいるおばさんが日本一の三味線弾きだとして、そのおばちゃんを辺境の音楽奏者などと呼んだ日にはおそらく血の雨が降るかも知れません。

 少しばかりくどかったですね。今日は、お誕生日にちなんだ人物です。ジャック=マルタン・オトテール(Jacques-Martin Hotteterre, 1674年9月29日 - 1763年7月16日)は、フランス盛期バロック音楽の作曲家でフルート奏者です。パリの管楽器職人の家庭に生まれ、パリに没した生粋のパリジャンと言えます。名前は単にジャック・オトテール(Jacques Hotteterre)とも呼ばれ、またローマ留学をしたことから、オトテール・ル・ロマン(Hotteterre Le Romain)という愛称でも知られています。

 オトテールは、フラウト・トラヴェルソ※1の設計に数々の変更を付け加えています。最も重要なのは、フルートを3つの部分に分け、頭部(マウスピース付き)、胴体(ほとんどの音孔つき)、脚部(いくつかの音孔あり)としたことです。このような分割は、現代式フルートにも受け継がれていますから、オトテールはフルート設計の功労者でもあるわけです。
 更には、オトテールはバロック・オーボエの改良にも力を尽くしています。さすがに楽器屋の倅です。この結果、ジャン=バティスト・リュリやヘンリー・パーセルの管絃楽曲でオーボエが使われるようになったきっかけを準備したことになります。木管奏者はこの人の名を覚えておくべきです。

 オトテールが名を成したのは、ほとんどフルート演奏能力の高さによるものでした。この楽器のためにオトテールが作曲したたくさんの楽曲は、フルートのレパートリーをかなり押し広げました。オトテールはファゴットやミュゼットの演奏も得意としたようです1704年頃、ジャック=マルタン・オトテールは従兄弟のジャックの後任として宮廷の「basse de hautbois et taille de violon」の職に就いています。

<主な年表>

1698~1700年イタリア、ローマ王子フランチェスコ・マリア・ルスポリに仕える
その後ローマで勉強しパリへ戻る
1708年フランス国王宮廷室内管弦楽団に入り低音オーボエやヴァイオリン等の奏者となった
1707年フルート教則本」を出版
1708年「フルート曲集」を出版。
1717年宮廷室内管弦楽団フルート奏者
1719年ヨーロッパ初のフルート奏法解説書「アート・プレリュード・フルート」を公表した
現代のフルートの音楽は17世紀の最も有名なフルート奏者の論文で始まる。
1737年「ミュゼットのための奏法」を発表した

 

※1フラウト・トラヴェルソ、古くはフルートと言えば、縦笛も横笛も併せて両方を指していました。そのうち楽器の改良が進み、特に横笛には特殊なキーが付いたりして著しく機能が上がってきたことから両者を区別するために、「フラウト・トラヴェルソ(横)」と呼ぶようになりました。

 

※ 演奏会のご案内

○ ベートーヴェン ピアノとヴァイオリンの為のソナタ全曲演奏会

 

※ お知らせ

○ 遠藤紗和さんのCD発売

 このお知らせは9月いっぱいで終わります。お陰様を持ちまして、第二版をただ今準備中のようです。

 

 

 

Comp.works For Flute & Continuo: Penalver Campillo(Fl)T.millan(Cemb)Saturno(Gamb)

Hotteterre (1674-1763) 

【収録情報】
オトテール:
● 組曲集 第1巻より第1組曲~第5組曲
● 組曲集 第2巻より第1組曲~第4組曲
● 2つのフルートのための2つの小品
● 前奏曲の技巧より前奏曲ト短調、ニ長調

 ギレルモ・ペニャルヴァー(ブロックフレーテ)
 アントニオ・カンピッロ(ブロックフレーテ)
 トニー・ミリャーン(チェンバロ)
 マリア・アレハンドラ・サトゥルノ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)

 録音時期:2016年9月、2017年3月
 録音場所:スペイン
 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)