R・シュトラウス「13管楽器のためのセレナード変ホ長調」 | 翡翠の千夜千曲

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          Stage@Seven: Strauss: Serenade – Antares-Ensemble

 

  リヒアルト・シュトラウスは、何から何まで音楽にしてしまう。たしかに、ニーチェの哲学からサロメまで書き尽くしていますが、ロマンローランに言わせれば「手慣れて、見事な腕前だが、求心性がなく自己中心的だ」と手痛い批評を食らう羽目になる。しかし、こうも考えなければならない。求心的な音楽が常にあるのであれば、音楽はたちまち行き場を失ってしまう。訳もなく美しいことや、きれいな花に種を実らせることほどに重要なことはあるのだろうかと首をかしげてしまいます。

  13管楽器のためのセレナード変ホ長調(Serenade Es-Dur für 13 Blasinstrumente)作品7は、リヒャルト・シュトラウスの初期の作品で、1882年に書かれた管楽合奏のための作品です。
  初演は、ドレスデンで、宮廷管弦楽団の団員の演奏によって行われています。同年のうちに楽譜が出版されています。初演時にシュトラウスはまだ18歳という若さでした。しかし、その後の、シュトラウスを思わせる響きが既に聞こえます。
  指揮者のハンス・フォン・ビューローはこの作品を大いに評価し、ビューローの指揮で、マイニンゲン宮廷楽団の団員による演奏が行われたのを皮切りに、ドイツ各地でこの作品を紹介しています。若い作曲家リヒャルト・シュトラウスの名は広まり、シュトラウスの出世作となっています。ビューローは同じ編成による新たな作品を所望し、1884年に13管楽器のための組曲変ロ長調作品4が書かれています。
  編成は異なるが、モーツァルトの13管楽器のためのセレナード「グラン・パルティータ」を意識して書かれた作品です。明日は、それを聴いてみようと思います。

 

 

 

R.シュトラウス: 管楽器のためのセレナード
ハインツ・ホリガー

【曲目】
R.シュトラウス:
1. 管楽器のためのセレナード 変ホ長調 作品7
2. 13管楽器のための組曲 変ロ長調 作品4
3. 管楽器のための交響曲 変ホ長調《楽しい仕事場》
【演奏】
ヨーロッパ室内管弦楽団 管楽ソロイスト
ハインツ・ホリガー(指揮)